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何時かなれる
第一章

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                 何時かなれる
 ヤゴは田んぼの中からお空を見上げました、そして深く溜息をつくのでした。
「僕もあんな風になれたらなあ」
「蜻蛉さんになれること?」
「うん、なりたいと思ってるんだ」
 ずっと、とです。同じ田んぼにいるおたまじゃくしに言うのでした。
「ああしてお空を優雅に飛びたいな」
「蜻蛉さんって奇麗だしね」
「うん、格好いいしね」
 だからというのです。
「ああしてね、ずっとね」
「お空を飛んでいきたいの」
「そう思っているけれど」
「ヤゴが蜻蛉になるんでしょ?」
「そう聞いてるけれどね」
 それでもというのです。
「僕はなれるのかな」
「なれるわよ、だってヤゴから蜻蛉になるから」
「だといいけれど」
「私だってそうよ」
 おたまじゃくしはヤゴに自分のことも言いました。
「おたまじゃくしは蛙になるっていうけれど」
「そのことがなんだ」
「信じられないわ、足が生えて尻尾がなくなって」
 そしてというのです。
「田んぼの上に出られるなんてね」
「信じられないんだ」
「貴方と一緒よ」
 ヤゴと、というのです。
「そんなこととても信じられないわ」
「何かそう言うとね」
 ヤゴはおたまじゃくしの言葉を聞いてこう返しました。
「僕達一緒だね」
「そうね、けれど貴方は絶対によ」
「ヤゴになれるの?」
「私が蛙になるなんて」
「いや、君こそだよ」
 ヤゴは田んぼの中で俯いた蛙に言うのでした。
「絶対に蛙になるよ」
「どうしてそう言えるの?」
「だっておたまじゃくしが蛙になることはね」
 まさにというのです。
「決まっていることだから」
「皆はそう言うけれど」
「信じられないの」
「とてもね」
 それこそというのです。
「そんなことは」
「それを言ったら僕もだよ」
「何か私達一緒?」
「そうかも、なれるかわからないから」
「自分ではね」
「同じだよ」
「そう思ったらいけないんだ」
 ここで二匹に言う人がいました、それは二匹と同じく田んぼに住むたにしでした。たにしが言うにはです。
「御前さん達は絶対になるんだ」
「蜻蛉に?」
「蛙に?」
「そうだ、なるんだ」
 絶対にというのです。
「そのことはわしが保証するぞ」
「そうなのかな」
「なれるのかしら」
「わしはずっと見てきたんだ、御前さん達のお父さんやお祖父さん達をな」
 代々というのです。
「見てきたからな」
「それでなんだ」
「そう言えるの」
「そうだ」
 まさにというのです。
「だから言えるんだ」
「僕が蜻蛉になるって」
「私が蛙になるって」
「そうだ、ヤゴは脱皮を蛙は自然と身体が変わってな」
 そしてというのです。
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