第八章
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「順調にね」
「一つ一つか」
「ええ、告白はね」
「まだ先でか」
「もっと親密になっていきまさい」
「図書館の中でか」
「寿美礼を見たのが図書館ならね」
それならばというのだ。
「その図書館でよ」
「二人で話をしてか」
「親密になっていきなさい、いいわね」
「わかった、じゃあな」
慎は真礼の言葉に頷いた、そしてだった。
慎は寿美礼と何気なくを装って会話等をしていった、その間彼女に告白する時を狙っていた。しかしだった。
ある日だ、慎は屋上で真礼にこう言ったのだった。
「昨日な」
「まさかと思うけれど告白されたの?」
「逆だよ」
「えっ!?」
慎の今の言葉にだ、真礼は仰天してだった。
思わずベンチから立ち上がってだ、彼に問うた。
「嘘でしょ、それ」
「俺が嘘を言うか?」
「いえ、あんたが若し嘘を言っても」
それこそとだ、真礼も言う。
「すぐにばれるでしょ」
「俺は嘘下手だぞ」
「ええ、わかるわ」
「そうだろ、わかるな」
「ええ、あんたは嘘吐きじゃないというか」
「嘘は下手だ」
「こんな時はすぐにわかるわ」
真礼はまた言った。
「特にね」
「だからわかるな」
「信じられない展開ね」
「昨日御前が帰った後も二人でいただろ」
「昨日お家の用事があったからね」
それで二人より先に家に帰ったのだ。
「寿美礼には悪いけれどね」
「それで二人になってな」
「寿美礼の方からなの」
「図書館の裏に呼ばれてなんだよ」
「告白されたの」
「そうなんだよ」
「ううん、超展開ね」
腕を組んでだった、真礼は言った。
「それはまた、それでね」
「それで?」
「あんた返事はしたの?」
慎のその目を見て問うた。
「もう」
「いや、それがな」
「振ったとかじゃないわよね」
「そんなことするか」
「じゃあいいって言ったのよ」
「明日、つまり今日返事くれって言われたんだよ」
寿美礼の方からというのだ。
「今日な」
「今日なのね」
「そうなんだよ、是非って言われてな」
「じゃああんたの答えは出てるわね」
「当たり前だろ、俺だってこの展開には驚いているけれどな」
それでもというのだ。
「答えはもう出てるさ」
「そうよね、やっぱり」
「イエスしかない」
これが慎の返事だった。
「ノーなんて言うか」
「まさか寿美礼の方から言うなんてね」
「一緒にいるうちにな」
図書館の中でだ、真礼と三人で。
「俺のことが徐々に気になって」
「寿美礼がそう言ったのね」
「そうだよ、それでってな」
「その事情もわかったわ、じゃああの娘のところに行きなさい」
寿美礼のそこにというのだ。
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