第7話
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して、そんな柚子を笑顔に出来たのが何より嬉しかった。それがオレのエンターテイナーとしての始まりだ。
「それなのに、オレは、柚子にあんな顔にしかしてやれなかった」
なんと説明すれば良いのかわからない。一番近いのは捨てられた子犬とか、親を見失った子供の顔が近いか?そんな顔をして、無理矢理デッキを回している姿が脳裏にこびりついている。これが初心を忘れた罰なのか。
「そして、シンクロ次元のオレと似た顔をした男。やはりと言うべきなのかな、ユーリやユートと同じで若干の嫌悪感を感じた。映像なのに」
皆には黙っているけど、ユートやユーリに嫌悪感を抱いてしまう。ユーリは仕方ないかも知れない。だが、気心もしれているユートにも未だに嫌悪感を感じてしまう。理由はわからない。だけど、その原因があの現象の理由だ。オレ達の中でオレだけが仲間外れな理由。何が原因なんだ。
「答えは、たぶんデュエルでも出ないだろうな」
新たにエクストラデッキに産まれた3枚のドラゴンを取り出す。
「【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】【クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン】【クリアウィング・ファスト・ドラゴン】オレとあいつによって生み出されたドラゴン達。お前たちはオレに何をさせたいんだ」
【ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン】【スターブ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】【クリアウィング・シンクロ・ドラゴン】【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】
エクストラデッキからの召喚方法の名を持つドラゴン達。お前たちはオレに何を望むんだ。お前たちが語りかけてくれているのは分かる。だが、何を求めているんだ。力を貸してほしい、だが、その時ではないとしか返さないお前たちは何を知っている。念の為にこの4体を同時に扱うデッキとカードを作り出しておこう。他にも産まれたカードを確認しないとな。
だけど今は、辛いことや苦しいことや悩みから目を逸らそう。このゴーグルを掛けている間だけは、オレはチャンピオンでもエンターテイナーでもない、ただの榊遊矢に戻ろう。ゴーグルを少しだけ外して溜まっていた涙を落とす。街の灯りに照らされて星屑のような輝きを放ちながら夜の闇に飲み込まれていく。
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