第七章
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「それでよ」
「子供も出来たっていうのね」
「そうなったわよ」
「それはね」
「あんたと界人にはないっていうのね」
「むしろ千夏が言うみたいに」
「どんどん進むっていうのは」
千夏は自分から言った。
「ないっていうのね」
「そうよ、というかそんなどんどん進むって」
「信じられないのね」
「小説や漫画じゃないから」
だからだというのだ。
「そうしたことはないから」
「そうなの」
「千夏は違ったみたいだけれど」
「静かな恋愛ね」
「静かだと駄目なの?」
「そう言われるとね」
くすりと笑ってだ、千夏は愛衣に返した。
「別にね」
「悪くないのね」
「恋愛は人それぞれだから」
それ故にというのだ。
「それもいいでしょ、それにね」
「それに?」
「愛衣と界人君らしいわね」
こうも言ったのだった。
「奥手で」
「私達らしい」
「そうした恋愛がね、じゃあこれからも頑張ってね」
「頑張ってはいるわ」
愛衣もこのことを否定しなかった。
「私なりに」
「そして界人君なりに」
「頑張ってね」
「そうしましょう」
「それじゃあ」
こうしたことを話してだ、そしてだった、
実際にだ、愛衣は界人とゆっくりとしたかつ静かな恋愛を進めていった。そして交際しはじめてだった。愛衣が遂に女性の年齢の運命の歳になってだった。
婚姻届を出した、千夏はその話を聞いて彼女に笑顔で言った。
「おめでとう」
「ええ、何とかね」
「結婚出来たわね」
「これから同居してね」
「一緒に暮らすのね」
「そうしていくから」
まさにというのだ。
「ずっとね」
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「大変なのはこれからだけれど」
結婚してからというのだ。
「特にね」
「子育て?」
「出産とね、大変よ」
経験者としての言葉である。
「凄くね」
「やっぱりそうよね」
「だからね」
それでと言うのだった。
「そのことはわかっておいてね」
「うん、それと」
「それと?」
「やっぱり今も思ってるの?」
愛衣は千夏に尋ねたのだった。
「私達のこと」
「静かだって」
「そう思ってるの?」
「まあね、色にしたらね」
ここでだ、ふとだった。
愛実は博物館の事務所、今彼女達がいるそこから外を見てだった。そこから見える花壇のチコリのその花を見て言ったのだった。
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