第六章
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「そのことも安心してね」
「そうなのね」
「だからお話していいわよ、それで今日も図書館に行くのよね」
「そうするわ、絶対にね」
愛衣はにこりと笑ってだ、千夏に答えた。そしてだった。
昼に図書館で界人と会い続けた、ただ本を紹介してもらってその説明を聞いたり貸したり返したりするだけであったが。
静かに、そして徐々に関係は進んでいってだった。愛衣はある日千夏に言った。
「今日お仕事が終わったらね」
「あら、ひょっとして」
「お食事の約束したの」
「急に進んだわね、ただね」
「ただ?」
「会って三ヶ月、毎日図書館で会ってなの」
「ええ、それでね」
愛衣は千夏に話した、この時は二人は博物館の中を見回って展示品をチェックしていた。展示品には何も異常はない。
「今日ね」
「進展遅いわね」
「そうかしら」
「だって会って三ヶ月よ、婚活で」
「遅いかしら」
「どうもね」
「私はそうは思わないけれど」
愛衣は首を傾げさせて千夏に返した、隣にある博物館の展示品の一つであるアステカ文明のレリーフを見ながら。
「別に」
「そうなの」
「私的にはね」
「そう思うのがゆっくりよ、静かでゆっくりね」
「急に進まないから」
「もっと一気に押したら?」
「そうした性格じゃないから」
愛衣はこのことは否定した。
「だからね」
「それ界人君もなのよね」
「奥手なのね」
「だから今も独身で彼女もいないのよ」
「そうなの」
「あんたもね、けれどね」
「それでもなの」
「どうせ今日は食事だけで終わるでしょうけれど」
だがそれでもとだ、千夏は愛衣に言った。
「楽しんできてね」
「それじゃあね」
愛衣は千夏の言葉ににこりと笑って応えた、そしてだった。
この日界人と一緒に彼が紹介してくれたレストランに行った、そこで料理を楽しんで会話も楽しんだ。その会話は本や音楽のことがメインだった。
二人はこの時から度々食事を一緒に摂る様になった、夜だけでなく昼も。
そしてそうしたことが暫く続いてだった、ある雨の日にだった。愛衣は博物館の窓からその雨を見ながら千夏に言った。
「今度彼のお部屋に行くの」
「相変わらず展開遅いわね」
「そう?」
「私もうね」
「とっくに結婚してたっていうのね」
「あれよこれよという間にね」
自分のことをだ、千夏は愛衣に話した。
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