546部分:第七十八話 ムウの技その三
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第七十八話 ムウの技その三
「その牛車のところにです」
「ええ、じゃあまあ」
「とにかくそこにですね」
「それでカルカッタに」
このことはもうムウが決めていた。それならば決定だった。何しろ彼もまた黄金聖闘士なのだ。聖闘士の中で頂点に立つ彼なのだ。
「行きましょう」
「そうだね。道は長いけれどね」
「行くとするかい」
魔鈴とシャイナはここでも冷静であった。
「のどかとはいかないだろうけれどね」
「それでもね」
「何か注意することあります?」
「旅の途中に何か」
「それありますか?」
ここで四人はまたムウに尋ねるのだった。
「あったら何ですか?」
「それは」
「そうですね。暑さや疫病は私達なら大丈夫ですが」
それはまさに聖闘士だからである。
「蠍や毒蛇も」
「うわ、そんなのまで」
「やっぱりいるんですね」
「水はあれですね」
ムウは水の話もここでするのであった。
「やはり生水は飲まないことですね」
「あっ、身体に悪いからですね」
「やっぱり一旦沸騰させてからですね」
「はい、そうです」
まさにその通りだというのである。
「それにも気をつけて下さい」
「わかりました」
「あと食べ物にもですか」
「水と食べ物が一番問題ですので」
これは聖闘士でもなのだった。人間やはりこれからは逃れられない。
「だからです」
「それじゃあそれもですね」
「後は」
「何かありますか?」
「そうですね。他はないですね」
ムウは少し考えてからまた述べた。
「では行きましょう」
「はい、それじゃあ」
「今から」
こうして彼等は牛車に乗ってそのうえでカルカッタに向かうのだった。ところが六人は牛車のそのほろの中にいてムウは別の牛の背中にいる。牛は複数いるのだった。
「あれっ、何で」
「ムウ様はそこに」
「中に入られないんですか?」
「私はここでいいです」
その白い牛の背に座禅をする様に座りながらほろから顔を出してきた彼女達に答えるのだった。
「ここで修業も兼ねてこうしています」
「そうなんですか。座禅もされて」
「それでなのですね」
「いや、中々いいものです」
彼はにこりと笑って彼女達に返したのだった。
「こうしてインドの景色を見るのもです」
「そういえばここは」
「見渡す限りの平原ですね」
「凄い場所ですね」
まだニューデリーを出たばかりだ。一面水田である。
そこに多くの人が働いている。のどかな光景ではある。そしてやはり牛もいる。
「これはギリシアにない場所ですね」
「これもインドなんですか」
「こうした場所も」
「その通りです」
答えるムウの言葉は温厚なものだった。
「それを心の目で見るというのもいいものです」
「セブンセン
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