第二章
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「それでもね」
「相手が?」
「これがね」
愛衣は困った顔になった、再び。
「見付からないのよ」
「大学を出てから」
「ここに働いてからね」
それからというのだ。
「もうね」
「それはわかるけれど」
「それでもなのね」
「相手が見付からないのよ」
「婚活ね、それは」
千夏は愛衣にすぐに言った。
「後はね」
「後は?」
「そうしたサイトにも登録して。とにかく自分で出会いを作らないと」
「駄目なのね」
「そうよ、頑張ってね」
「お仕事だけじゃなくて」
「というか愛衣って趣味は何なの?」
仕事では同僚であるがというのだ。
「一体」
「読書に音楽鑑賞にね」
それにというのだった。
「あと陶芸と画廊巡りよ」
「文系ね」
「中学からね」
まさにというのだ。
「そうしてるけれど」
「完全な文系ってことね」
「ええ、スポーツはね」
「あとはお酒?」
「日本酒ね」
「そうなのね、じゃあ陶芸とか画廊でね」
「誰か探したらっていうのね」
愛衣は千夏の言葉を受けて彼女に言葉を返した。
「そうしたので」
「そうしたら?本当にね」
「婚活とかもして」
「やっぱり何だかんだで結婚はした方がいいわ」
現実としてだ、千夏は愛衣に言った。
「ずっと博物館にいても仕方ないわよ」
「ここで働いて趣味を楽しんで」
「実家で暮らして満足していてもね」
「家庭を持ってなの」
「旦那さん、子供に囲まれて暮らすのよ」
家庭を持ったうえでだ。
「そうしたら?」
「相手を見付けて」
「誰かいい人をね」
「じゃあ婚活、はじめるわね」
「そうしなさいね、何かこの博物館にはね」
「女の人が多くて」
「男の人は皆既婚だから」
それでというのだ。
「相手はね」
「ここにはいないわね」
「この博物館にはね」
残念なことにというのだ。
「どうもね」
「そうなの、だからね」
「外ね」
「それしかないな、じゃあ頑張ってね」
「そうするわね」
愛衣は千夏に答えた、そしてだった。
愛衣は実際に婚活を開始した、そうしたイベントに参加したり結婚相談所に登録をしたりして進めていった。だが。
二ヶ月経ったところでだ、博物館の職員用の食堂で昼食を食べつつだった。
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