第四章
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「勝負のストレスを解消しろ」
「わかりました、それじゃあ」
「そうしていけ、強気でいってだ」
「体力を備えて怪我をしないで」
「ストレスを解消していけ」
「ストッパーでやっていくのなら」
「それを続けていけ」
こう水原に言うのだった、そして実際にだった。
水原は右バッターへの内角攻めをオープン戦で実際に行いそれで抑えた。球速は相変わらず大したことはなかったが。
強気の攻めとコントロールと変化球を使ってだ、オープン戦で好成績を出した。そしてその成績が評価されてだ。
開幕一軍となった、それを観てファン達はまた話した。
「凄いわ」
「開幕一軍か」
「コントロールもええし」
「しかも強気でどんどん投げる」
「その心意気がええわ」
「期待出来るで」
「随分な」
誰もがにやりと笑って言う。
「これはええピッチャーや」
「ストッパー任せられるな」
「ああ、ちょっと不安はあったけど」
期待と共にだ、どうしてもこの感情はあるのがファンだ。
「それがな」
「ええ感じやないか」
「ほなペナントでどれだけやるか」
「見せてもらうか」
こう言うのだった、そして両親は水原にこう言った。開幕の甲子園に向かう自分達の愛娘に対してだ。
「ええか、天狗になるな」
「慢心はあかんで」
「どんだけ抑えてええピッチャーになってもや」
「それでもやで」
絶対にというのだ。
「慢心はあかんで」
「それはな」
「絶対に、なのね」
水原は両親に真剣な顔で応えた。
「それは」
「そや、天狗になったらな」
「もう成長止まるし」
「自分が一番って思って」
「そこで努力止めるからや」
「人間は努力や」
「うち等いつも言うてる通りにな」
父親は普通のサラリーマンで母親はパート勤務の兼業主婦だ、そうした市井で普通に生きている立場から言うのだ。
「人間低くや」
「低い気持ちでおるんや」
「そやからな」
「天狗にならずにな」
「プロ野球でもやってくんやで」
「しっかりとな」
「お姉ちゃん、頑張ってね」
まだ小学校低学年の妹の優麻も言う、顔立ちはそっくりだ、
「相手は巨人よね」
「ええ、そうよ」
開幕戦の相手はとだ、水原は妹に答えた。
「甲子園でね」
「巨人やっつけてきてね」
こう姉に言うのだった。
「それで勝ってきてね」
「ええ、そうするわね」
「私ずっとお姉ちゃん応援するから」
姉をあどけない目で見ながら言う。
「だから頑張ってきてね」
「お姉ちゃん頑張って来るわね」
妹にも約束した、そしてだった。
水原は開幕戦の甲子園に向かった、神戸の東にある自宅からは目と鼻の先で電車で行った。そして球場に入り。
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