第四章
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「病でな、三日前に」
「そんな・・・・・・」
「嘘ではない、何なら街まで来てみるか」
「はい、よければ」
「案内しよう、娘のところまで」
男はこう言ってだ、ナルキッソスを街まで案内した。ナルキッソスは羊達を連れてそのうえで街まで行った。彼は街の外れの墓地まで案内されたが。
エコーの名がある墓石の前に案内されてだ、その場で崩れ落ちた。男はその彼に後ろから無念さを滲ませた声で言った。
「娘は以前から身体が弱かった」
「そういえば」
言われてだ、ナルキッソスも気付いた。
「顔色も唇の色も」
「そうだった、そしてだ」
「病で」
「急の病でな」
「そうですか」
「ずっと山に行きたがっていた」
男はナルキッソスにこのことも話した。
「床の中でな」
「それは」
「君に会いたいと言っていた」
このことを話した。
「ずっとな、そのうえで三日前だ」
「そうでしたか」
「葬儀も終わってな、君に伝えに来たのだ」
「有り難うございます」
「礼はいい、だが娘は死んだ」
男はナルキッソスに再びこのことを告げた。
「そのことはわかってくれ」
「わかりました・・・・・・」
崩れ落ちたままだった、ナルキッソスは頷いた。だが彼は。
この時から一層塞ぎ込む様になった、エコーと共に歩いた山の至る場所を羊達と共に巡りつつも沈んだままで。
何時しか彼も病に罹り。
それでもエコーとの思い出の山の場所を巡ってだった、やがて山の中で倒れ動かなくなってしまった。
森のニンフ達はその彼を見て深く心を痛めた、中にはかつて彼に愛を告白して拒まれた者もいたがそれでもだった。
ニンフ達は彼の亡骸を囲んでだ、空を見上げて言った。
「神々よ、聞いて頂けますか」
「この気の毒な若者に慈悲をお願いします」
「愛に生きて悲しみの中に死んだ彼に」
「どうか慈悲を」
こう願った、その願いは。
聞き遂げられてだった、彼がいつも連れていた残された羊達は牧神でもあるパンが引き取ることになり。
彼の亡骸は花に変えられた、この世のものとは思えないまでに美しかった彼の姿をそのまま表した様な美しい花に。
その花は彼がいつも水を飲んでいた池、そこもまた彼がエコーと共によく行っていたがそこに咲いた。そしてその花を。
ニンフ達はナルキッソスと呼び時折彼がエコーと共に毎日行っていた山の頂上にも連れて行った、そうして。
この花はやがてギリシアの至るところに咲く様になり世界に広まった、ニンフ達は水に咲くその花達を見て思った。
「彼が忘れられない様に」
「彼の愛が忘れられない様に」
「誰もがこの花を見て」
「そのことを思う様に」
こう思うのだった、ナルキッソスは花になりそして彼とその愛はニンフ達だけでなく人々にも神々にも伝えられ
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