第二章
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「山の景色を楽しんでいます」
「そうなのですか」
「この山はとても奇麗なので」
「そうですね、特にです」
ナルキッソスもこの山のことを知っている、それで少女にこう話した。
「頂上に登るとです」
「山のですか」
「はい、その頂上から観る景色がとてもいいのです」
「そうなのですか」
「どうですか、これからです」
「山の頂上まで言って」
「はい、景色を観ませんか」
「頂上まで、ですか」
そう誘われてだ、少女は難しい顔になった。そのうえでナルキッソスにこう答えたのだった。
「この辺りはよく来ていて知っていますが」
「頂上まではですか」
「まだ行ったことがなくて」
「そうですか、では案内させて頂きます」
「貴方が」
「はい、そして観ましょう」
山の頂上から観る景色をというのだ。
「そうしましょう」
「それでは」
「はい、今から」
ナルキッソスが誘ってだ、彼は少女を羊達を連れたまま山の頂上に案内した。そこから周りの山々、下から見える街や道、平野や川を見せた。
そのうえでだ、少女に対して尋ねた。
「どうでしょうか」
「はい、何か」
「何かといいますと」
「夢みたいな」
こうナルキッソスに答えた少女だった。
「とても奇麗で」
「この山はあそこも小川も奇麗ですが」
「森も」
「ですがここから観る景色がです」
何といってもというのだ。
「奇麗で」
「そうですね」
「私はいつもこの山に来たらここに登っています」
「そうですか」
「よかったらまたです」
「案内してくれますか」
「はい、貴女がよければ」
こう言うのだった。
「そうさせて頂きます」
「そうですか、ではお願いします」
「是非、それで貴女の名前は」
心の中からそうしたくなって自然にだった、ナルキッソスは少女に問うた。
「何といいますか」
「エコーといいます」
少女は静かな声で名乗った。
「そういいます」
「エコーですね」
「はい」
「私はナルキッソスといいます」
ナルキッソスも名乗った。
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