第五章
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「他にはいないでしょって思ったのに」
「そうでもなかったっていうのね」
「ちょっとがっかりよ」
「がっかりすることもないでしょ」
その微妙な顔になった明日香にだ、綾はこう返した。
「別に」
「そうなの?」
「だって好きでしょ、今のファッション」
「まあね」
言われてみるとその通りだ、明日香も頷いて答えた。
「それはね」
「じゃあそれでいいじゃない」
「自分が好きなら」
「それならね、それに似合ってるわよ」
「いけてる?」
「いけてるわよ、ブレザーもブラウスもタイもね」
その三つ共がというのだ。
「いい具合にね」
「それじゃあ」
「そのままいったら?」
微笑んでだ、綾は明日香に言った。
「他の人が同じ配色でもね」
「それじゃあ」
「他の人はどうでもいいじゃない」
「自分は自分ね」
「自分がいいって思ったらね」
それでというのだ。
「いいでしょ」
「それじゃあ」
「そのままいけばいいじゃない、じゃあ私も」
「綾もっていうと」
「自分のファッションもっと考えていくわ」
「そういえば綾の今の服って」
ここで明日香は綾の今のファッションを見た、見れば英語が書かれた灰色のシャツにパーカー付きの茶色の上着、それと黒ズボンに靴という格好だ。
動きやすい、しかしだった。
「何かあるもの着た?」
「実はそうなの」
「あまりね」
「いけてないでしょ」
「何かね」
実際にとだ、明日香は答えた。
「もっと頑張ったら?」
「だから頑張るわ」
「私がフランスだから」
トリコロール配色だからというのだ。
「ドイツとか」
「黒、赤、黄色ね」
「それとか」
「あっ、それいいかも」
その配色を聞いてだ、綾もそれはと感じてこう返した。
「黄色のシャツと赤いマフラーで」
「黒のコートとかね」
「それいいわね」
「じゃあ今度そうしてみる?」
「やってみるわ、ただフランスというとドイツなのね」
「同じ欧州だからね」
それで出したというのだ。
「ついでにソーセージどう?」
「ソーセージね」
「好きでしょ、ソーセージ」
「ええ、かなりね」
「じゃあいいじゃない、ドイツで」
「そうしてみるわね」
綾は考える顔になり明日香に応えた、そしてだった。
そうした話をしつつだった、二人で街を歩いて買いものや散策、その後のカラオケ等を楽しんだ。明日香はもう自分の服について何も思わなかった、いいファッションだと思いそのうえで共にいる綾に彼女にいいファッションも話した。トリコロールの中で。
トリコロール 完
2016・8・16
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