第7章 聖戦
第156話 御使い
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
式に発表するだけで事が足りたとも思うのですが。
もっとも、ここまで話を盛り上げて仕舞うと、流石にそう言った方法でお茶を濁す訳にも行かなくなる。
もうどうにでもなれ。見せかけだけの『契約のくちづけ』なのだから唇と唇が軽く触れる程度で十分だろう。
そう考え、半ばヤケクソ気味の思考ながらも覚悟を決める俺。
僅かに上目使いに俺を見つめるタバサ。赤いアンダーリム越しに見つめる瞳の色は蒼。
まるで精巧に出来た人形のような整った顔立ち。容姿に関して言うのなら未だ成長途上と言うタバサには少し曖昧な部分。……少し子供っぽい雰囲気の部分もあるが、それでも非常に整った顔立ちだと思う。性格に関しては……俺と他者、と言う明確な線引きを行っているようで、少なくとも社交的な性格とは言えない……前世の彼女からすると、とても同一人物だとは思えないような性格なのだが、それでも大きな問題があると言う訳ではない。
それに、彼女に関しても俺に対する感情はちゃんと伝わって来ている。
その彼女に対して、この覚悟の決め方はかなり失礼な態度のような気がしないでもないのだが……。
後で埋め合わせに何かするべきか。冷静な瞳で見つめられ、彼女の指が俺の頬に当てられた瞬間、煮えかかった頭に普段通りの冷静な思考が戻って来る。
何にしても、この見世物に過ぎないイベントをさっさと終わらせる。それが帰って来てから行う最初の仕事だ。そう考えた瞬間――
「これから何が起きても……わたしを信じて欲しい」
本来、何らかの呪文らしき物を唱えるタイミングで発せられる意味不明のタバサの言葉。いや、それが日本語で行われた以上、この場に集められたガリア貴族たちには、彼女の口の動きからも、何をしゃべったのか分からないはず。つまり、先ほどの彼女の口の動きは、彼らからしてみると、タバサが何らかの呪文を唱えたとしか思えないでしょう。
それに――
それにそもそもタバサを信用しない……などと言う選択肢は今の俺には存在しない。大体、彼女を信じられないのなら、俺はこの世界には帰って来ていない。
確かに盲目的に信用している訳ではない。盲目的にただ一途に信じているだけならば、それは単なる思考停止に過ぎない、と思う。常に疑念は持ち続けている……とまで言わないが、タバサが俺を陥れて何か意味があるとも思えない。
少し両腕を伸ばすかのように、俺の頬に手を当てるタバサ。僅かに……と言うには身長差が有り過ぎるが故に、かなり腰を屈めた姿勢で彼女が届くようにする俺。
整った。しかし、少し冷たい印象の彼女の指先を強く感じながら、この四十センチ近い身長差だけはどうにかならない物か。そう考え続ける俺。先ほどの彼女の言葉は矢張り無視する。そもそも、彼女を疑う事に意味はないし、おそ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ