第7章 聖戦
第156話 御使い
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に、ゆっくりと進み来ていたタバサが俺の半歩手前で静かに立ち止まった。
その瞬間、この鏡の間に集められた貴族たちの間に言葉にならないざわめきにも似た何かが広がって行く。
矢張り、この契約の儀を止める事は出来ない。そう感じさせる強い感情を――
白磁のような肌……。有希と比べても人種的な特徴から、おそらく彼女の方が白い肌を持つ。端麗な容貌の中に、年齢に少しそぐわない鋭利な何かを感じさせる彼女。ただ、彼女の現実の年齢からするとやや幼いように感じる。
おそらく彼女自身が、俺の知っているこのハルケギニア世界の同年代の少女と比べると、かなり小柄な所為だと思うのだが……。
そう、十五歳と言う年齢からすると、彼女の身長は地球世界の日本人の平均から言うと十センチは低い。
もっとも、俺のアンドバリの指輪が教える前世の記憶に間違いがないのなら、前世の彼女には背が伸びる方法を教えたはずなのですが……。
記憶の中に居る、前世の彼女の姿。オルレアン大公家に産まれた双子の片割れの少女の姿を思い出す俺。身長は百六十センチ近く。百八十を超える俺と並んでも不釣り合いになる事のない……と言うか、むしろ非常にバランスの取れた組み合わせに見えた腰まである長く蒼い髪を持つ少女の姿を。
そう、確かに教え、前世では間違いなく実践したはず。適度な運動と睡眠。成長ホルモンが分泌されるのは睡眠中が多く、その為に必要な栄養素を多く含む食材をバランスよく摂取する方法も……。
もっとも、こんなどうでも良い事を彼女が思い出す必要もないか。それに、ここ数年のタバサに降りかかった不幸は彼女に大きなストレスを与えたはずなので、その事が成長に悪い影響を与えた可能性も高い。
年齢、更に人種や家系から言うと、もう少し成長していても不思議ではない少女を自らの瞳の中心で捉えながら、そう考えを纏める俺。但し、これは明らかに現実から逃避している者の思考。そもそも、この退っ引きならない状況に追い込まれた理由は、自らがタバサの使い魔と成る、とギャラリーの前で強く宣言した事に端を発していたので、誰の責任でもない自分自身の責任なのだが……。
ただ、総大司教が妙に否定的な意見を述べた事によって、俺の反骨精神に火が付いて仕舞い……結果として大勢のギャラリーの前で意味もなくキスシーンを披露するハメに。
去年の四月、最初に召喚された時に交わした契約のくちづけは、ほぼだまし討ちに近い形。その後に関しては、多くのギャラリーが居る中でのくちづけではなかった上に、戦闘時のどさくさと言う事もあったので……。
但し、これも身から出た錆。冷静になってよくよく考えてみれば、別にここで大勢の前でくちづけを交わして見せなくても、後にちゃんと使い魔契約を交わしましたよ、……と公
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