第7章 聖戦
第156話 御使い
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らそう言う手筈に成っていた、そう言う事だと思う。
そもそも反骨精神の塊のような俺に対して、他国の馬鹿どもからガリアが下に見られる可能性があるから未来の皇后だろうが何であろうが、女の使い魔になる事など止めろ、などと言われたとして、ハイそうですか、……と簡単に受け入れる訳がない。
普通に考えるのなら、こんな時だけ良く回る頭と、それ以上に良く動く舌が状況をひっくり返して仕舞う可能性の方が大きい。
つまりこの場では総大司教がわざわざ嫌われ役を演じてくれた。そう言う事。
今まで常識だった古い論法や慣習を若い王太子が打ち破る。何処の世界にも存在する、古臭い習慣や意味のない縁起担ぎを笑い飛ばし、其処に古い権威に挑む新しいガリアを重ねさせようとしている。……のだと思う。それに、矢張り勢いが良い方が。対外的には強硬な意見の方が単純で人気が出易いのも事実でしょう。
大体、対外的に理不尽な……言いがかりに等しい理由で、その古い慣習に染まった他の国々から戦争を吹っ掛けられている今のガリアの状態ならば。
確か前世でこの役は西薔薇騎士団のランスヴァル卿だったはず。しかし、何故かこの場に彼や、マジャール侯爵の姿も見えない。更に魔法と言う、常識の向こう側に存在している人間の筆頭。リュティス魔法学院の学院長とトリステインの元学院長の二人に、古い思い込みや常識に凝り固まった発言をさせる訳にも行かない。
このハルケギニア的にはどうだか分からないが、少なくとも今回の人生で俺に術を教えてくれた師匠や水晶宮の関係者たちの間では、魔法とは元々常識の外側に存在するモノ……と認識されていました。
そう、魔法に関わる者と言うのは、初めから常識や思い込みの向こう側に住む人間たちの事。その常識の埒外の人間が、古い思い込みに凝り固まった発言を行って仕舞うと、其処に大きな自己矛盾が発生して仕舞い、結果、彼らのこれまでの発言、これから先の発言に説得力が無くなって仕舞うから。
故に、今回の人生でこの嫌な役割を総大司教が受けてくれた。……と言う事なのでしょう。
おそらく今回の人生では軍の主要な将軍連中は流石に前線から離れる事は出来なかったのでしょうね。東薔薇が既になく、両用艦隊も壊滅状態の現状で、マジャールの飛竜騎士団と西薔薇は国軍のすべてと言っても過言ではないはずですから。
前世では確か平民主体の軍隊が聖戦勃発の頃には既に組織されつつあったのですが、今回の人生では其処まで深く、更に長い時間、俺がガリアの政治に関わった訳ではないので……。
……そう言えばジル・ド・レイも居ないか。
少し意識が明後日の方向へとトリップしていた俺。その最中も当然のように進み行く事態。
そう、俺が今、考えたとしても意味のない事に意識を飛ばしていた数瞬の間
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