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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第156話 御使い
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 外界から差し込んで来る弱い冬の陽光(ひかり)と、頭上から照らされる人工の蒼光(ひかり)。そして、自らの周りに存在する小さき精霊たちを活性化させている今は、俺自身が淡い光輝(ひかり)に包まれている状態。
 おそらく観衆……集められたガリア貴族たちからは俺の姿が、妙に強調されたかのように映っている事でしょう。
 そう考え掛けてから、少し訂正。いや、もしかすると神々しく――かも知れないな、と。
 そう、それはまるで舞台の上でスポットライトを浴びる役者のように。一部の宗教画の中に描かれる後光を背負った聖人のように見えているはず。

 何時も通りの少し皮肉に染まった思考でそう考えながら、本来、異議を唱えた……俺がタバサの使い魔と成る事に対して反対意見を述べたガリア総大司教の視線を背中に受け、俺の長広舌は終わった。

 水を打ったかのように静まり返った……。(しわぶき)ひとつ聞こえない鏡の回廊。まるで、その場に存在するすべての者が化石と成り果てたかのような空間。
 そう、張り詰めた空気と妙に重苦しい雰囲気。誰もが身動きひとつ出来ず、俺の動きに注視している状態と言えるかも知れない。
 しかし――

「騎士と貴婦人……と言うには、双方ともやや幼すぎる帰来はあるが――」

 それでも、ふたりの意志は決まったようじゃな。
 低音楽器のような、低く落ち着いた声が凝り固まって仕舞った世界に響いた。
 西洋的騎士道の基本を口にして、俺の長広舌を受け取るジョゼフ。この固まってしまった世界を最初に解すのは矢張り王たる彼の役目。
 ……但し、俺は所詮、彼の影武者。時が来れば彼が今の俺の役割を引き継ぐ以上――
 また少しやり過ぎて仕舞ったかも知れないな。

 相変わらず、やって仕舞ってから後悔する、と言う繰り返しを少し反省する俺。知らない人間から見ると、俺がガリアの表舞台に立ってからここまで、この王太子は将来、どんな王となるのか。……と、そう期待させるには十分過ぎるぐらいの態度や結果でずっと歩んで来ていると思う。その妙に高い期待を将来、この目の前のジョゼフが一身に背負う事となるのですから……。
 少し彼の未来に付いて気の毒に思わない……でもない。
 もっとも、そのリスクも込みで、この難局を乗り切るには俺やタバサの力が必要だ、とジョゼフ自身が割り切った結果だとも思うのですが。
 今、この場に俺やタバサが存在する理由は。

「それで総大司教、どうなさいますかな?」

 しかし、……と言うか、当然と言うべきか。その様な俺の内省などお構いなしに進む事態。そして、更に場の主導権を握ったまま、そう問い掛けるジョゼフ。
 当然のように、

「御心のままに」

 そう口にしてから一歩、後ろへと下がる総大司教。但し、おそらくこれは最初か
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