暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
聖夜に祝福を
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と飯食ってんのか?寝てるか?」
「三食食べてるし毎日十時間は寝ている……体は健康だが心に穴が空いている気分だ…」

大惨事だった。健康と本人は言うが全く健康そうには見えない。むしろ不健康の極みのようだ。
最初のうちは、少し表情は暗かったがある程度はいつも通りだったのだ。それが一週間ほど経って溜め息が一気に増え、更に一週間ほどで顔色が悪く、ついに五日ほど前からギルドにも顔を出さず家に引きこもり始める始末。様子は同居する従者四人から聞いてはいたがこれほどか、とアルカは上げた口角が僅かに引きつるのを感じる。
評議院ではクロノが妹不足で一周回ってこっちが心配になるほど仕事に打ち込み、打ち込みすぎて仕事は捗るが誰かが声をかけないと食事も睡眠も取らなくなっているらしい。この兄弟大丈夫か。

「え、これヤバくね…?今日が命日になるとかねえよな?」
「姉さんの誕生日を俺如きで不運になどするものか…」
「よかった、まだ主がこんな調子でいるうちは正常だ」
「いや普通にヤベえよ」

ほっとしたように息を吐いたライアーも、どことなく顔色が悪い。

「大丈夫ですか、ライアーさん。隈ありますよ?」
「俺は大丈夫だ、比較的症状は軽い」
「比較的?…クロスさんと、ですか?」
「いや、主の様子を数時間おきに交代して監視…見守っていたからな。多少睡眠不足なのと、時折荒れる主を力づくで止めていただけだ。特にスバルは酷いぞ、アイツの担当の時は主がよく荒れた」
「うわあ…」
「スバルさんに何の恨みが…」

アランに尋ねられたライアーが指す先には、明らかに消耗しきったスバルの姿。髪は寝癖をそのまま放置した上に暴風の中を歩いてきたかのようなボサボサ具合。ぐったりと身を投げ出すように椅子に腰かけ、テーブルに乗せた顔にはライアー以上に隈がくっきりと出ている。瞼が落ちては慌てたように開き、また抗えず落ちていくのを、いつものように向かい側に座るヒルダが溜息を吐きつつ見ていた。

「眠いなら寝ろと言っているだろうバカスバル。無理してどうする」
「だってよう…今日、クロスの誕生日……祝って、やらねーと…」
「それでも少し寝ろ。午前中のうちは主が使い物にならないから宴もないだろうし、正午辺りには起こしてやるから」
「うー……悪ィ、頼んだ…」
「仮眠室だろう?運んでやる。ほら、肩を貸せ」

ふらふらと立ち上がって歩き出すスバルを支えながら仮眠室へと向かっていく。元気が取り柄の彼があそこまで疲れ切ってしまうとは、余程クロスの荒れ方は酷かったのだろう。

「…あれ?でも僕、荒れたっていうのもクロスさんを監視してたっていうのも初耳なんですけど。言ってくれたら僕も手伝いましたよ?」
「いや…これは身内の事だからな、フィジックスが部外者だという訳ではないんだが…主の
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