聖夜に祝福を
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しふわりと椅子を立たせた。
「とりあえず落ち着けよクロス。混乱するのはまあ解るけど、解りたくねーけど解っちまうけど、ティアだって何の考えもなくそんな事言った訳じゃねえだろうし」
「そうですよ主。元々ティアには一度考え始めるとネガティブになりやすい面がありましたから、今回もそれでしょう。何故そんな考えに至ったのか、聞いてみればいいじゃないですか」
「あ、ああ…そうだな。すまんがドレアー、姉さんは今どこに……」
流石に主の扱いに手慣れているスバルとヒルダの言葉にようやく落ち着きを取り戻して、事のきっかけを話してしまったばっかりに誰より近い距離で彼の混乱を見届ける羽目になったラクサスと雷神衆に振り返る。
と、彼等は揃って答えにくそうな顔をして、結局「あー…その、だな」とフリードが重たそうに口を開いた。
「“少し気持ちの整理をしたいから、何を言われてもヴィーテルシア以外を家に入れないから、私の家に来そうな奴全員に来ないよう言っておいて”と…その、クロスとクロノも含めて。それから、しばらくギルドにも顔を出さない、と…」
それを聞いたクロスの顔は、まるで地獄でも見たかのように絶望し切っていたと、事をはらはらしながら見守っていたウェンディとココロは後に語り。
一緒に住んでいるから当然とはいえ一人選ばれた事に尻尾があれば全力で振っていたであろう程嬉しそうだったと、ヴィーテルシアとケーキ談義をしていた為に近くにいたエルザは後に話し。
暫く会えないと聞いた瞬間悲しそうに表情を曇らせていたと、ライアーの隣をティア以外に譲る気のないアランが後に証言した。
それから数日、
「隊長が普段に増して仕事しないんですが妹さんに何かあったんでしょうか?」
「クロノ隊長がいつも以上に仕事に手が付かないみたいなんですけど、妹さんと喧嘩でもしたんですか?もしそうなら隊長はとても反省しているとお伝えください」
「すいません、隊長の妹さんいらっしゃいますか?いらっしゃったら何でもいいので一言ください、隊長が椅子に座る置物と化していて仕事になりません。妹さんの声さえ聞ければ何とかなると思うのですが…」
「あの、そろそろ妹さんは…今日もいらっしゃらない?そうですか…そろそろナギさんでもどうにもならなくなってきたので本当に、本当に妹さんの力をお借りしたいので、ギルドに来ましたら隊長に連絡するよう伝言をお願いします」
そんな、評議院第一強行検束部隊の隊員達からの連絡が毎日のように続いたのは余談である。
そして、来たる十二月二十五日。
記念すべき誕生日を、クロスは干乾びたような状態で迎える事となった。
「えーっと、クロス…誕生日おめでとう」
「…ああ、イレイザーか……ありがとう」
「……大丈夫か?ちゃん
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