聖夜に祝福を
[6/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たのか?いい加減クビになるぞ」
「いや、今回に関しては丁度この辺りで仕事。何か違法な魔法薬に手出してる奴等のアジトがどうだとか何とかで、今さっき全員逮捕してきた。で、そしたらラージュ…あ、部下な。ラージュが、“そういえば隊長がいたギルドってこの時期クリスマスツリー飾るんでしたよね、妹さんと弟さんに会いに行くついでに見てきたらどうですか?”って言ってくれてさあ。ならお言葉に甘えようかな、と」
「因みにその一言がなかったら?」
「無断で来た」
「解釈したぞ師匠、そのラージュとやらはクロノヴァイス殿の接伴が老巧なのだなっ」
「ツリー云々言ってんのに本題がティアとクロスだって解ってる辺り、流石だよなあ」
というかこんな隊長でいいのか評議院。その一言は敢えて飲み込んだ。
「オレにとっては二人とも大事な妹と弟だからな、そりゃあ二人の事を盛大に祝うに決まってんだろ?あ、二十五日はもう休み入れてあるから、朝からギルドにも顔出すよ」
「ナギさんも一緒に?」
「一応声はかけてみるけど、アイツはアイツで青い天馬の昔馴染みから誘われそうだしなあ……ま、聞いてはみる」
かつては青い天馬の魔導士、今は彼が隊長を務める第一強行検束部隊の一員として働く黒髪の女性。一度会った事のある姿を思い出しながらサルディアが問うと、少し考えながらそう返答があった。せっかくのクリスマスに恋人が自分より弟妹を優先している事に何か言ったりしないのか、と考えて、それでカリカリしていてはクロノとは付き合えないかと納得する。「それがクロ君だから」と笑って見せる姿まで想像出来た。
「で、ティアは?誕生日プレゼント何がいいか聞きに来たんだけど」
「今日は未だ目視は皆無だ」
「…えっと?」
「まだ見てねえってさ。図書館寄ってから来るから、しばらくかかるんじゃねえの?」
「…?」
「どうしたラクサス」
「何かあったのかよ?」
特に問題もなく仕事を終え、ラクサスは雷神衆と共にマグノリアに帰って来ていた。列車を降り、駅を出て、「そういえばもうすぐクリスマスね、ツリー飾ってるかしら」とエバーグリーンが街の装飾を見回して言うのを聞きながら、つられるように視線を小さく回して、その中にふと映り込んだ姿に目を止める。
無意識に足を止めていたようで、少し先を行ってラクサスが動いていない事を疑問に思ったらしいフリードとビックスローが声をかけた。カヨー、カヨー、と人形がビックスローに続く。
「あれ、ティアじゃねえか」
「ん?…ああ、そうだな。そう…だよな……?」
「何か…顔暗くない?いつもだったらもっと…明るいって訳じゃないけど、ねえ?」
「ラクサスはともかく、オレ達にも解るって相当だぞ。なあベイビー?」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ