聖夜に祝福を
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九日よ」
「というかそれ胸張っていう事じゃないから!」
「いやー、ミラが覚えててくれたとは嬉しいなあ!」
はははー、と笑って見せるアルカだが、内心ではルーに誕生日を覚えていてもらえなかった事にかなりショックを受けていたりする。因みにそんなルーの誕生日が五月二十八日である事を、アルカはバッチリ覚えている。
「初めて聞いた…ティアの誕生日が、今月だったなんて……全ては事前に調べておかなかった俺の責任だ……許せクロス、俺が悪いんだ……!」
「お、落ち込まないでください、ヴィーテルシアさん!今から出来る事をしましょう!ね?」
「そうですよ!クロスさんだって怒ってませんし…」
「今年こそ…今年こそ……いや無理だ俺にそんな度胸はない!十秒目を合わせるのがやっとな俺が、アイツの誕生日に、しかも周りがカップルだらけの日に告白などっ……不可能だ無理だ出来ると思えない!」
「だ、大丈夫ですよライアーさん!きっと出来ます、きっと上手くいきます!ティアさんだって、ライアーさんの事嫌いじゃないでしょうから!」
がっくり項垂れるヴィーテルシアに、しゃがんで頭を抱えたままぶつぶつとネガティブに呟き続けるライアー。ウェンディとココロ、アランが懸命に励ましているが、立ち直る様子はない。というかギルドの中でも幼い方である三人に励まされる年上ってどうなんだ、とスバルの向かいでヒルダは思った。
「…む?」
「どうしたローアストル」
「ティア嬢の誕辰なら、それはクロス殿の誕辰でもあるのではないか?双生だろう?」
不思議そうに首を傾げたラグナの疑問に、「ああ」とクロスは頷く。
「そうだな、俺と姉さんは双子。姉さんの誕生日であるという事は同時に俺の誕生日でもある。だが俺の事などどうでもいい、俺の事こそ忘れ去ってくれて構わん。俺を祝う余力があったらその分姉さんを祝ってくれ、それが俺への祝いになる」
「毎年それ言うよね、クロス君」
「むぅ。クロス殿がそう述べるなら、私はティア嬢を慶賀しよう。…だが、クロノヴァイス殿の降心は皆無なのではないか?」
「その通り!あとついでにオレの事はクロノでいいぞラグナ!」
「!」
「あ、クロノ君」
弟妹大好き兄貴が納得しないのでは、と危惧したラグナの背後。いつの間にかギルドに来ていたらしい、いつも通りの制服姿のクロノがテーブルを強く叩きながら立ち上がった。びくりと震えたラグナは咄嗟に近くにいたグレイの背後に隠れ、サルディアは特に驚く訳でもなく微笑んでいる。
「いたのか兄さん」
「相変わらずオレへの扱いが雑気味だなクロス、だがその分ティアに愛情が行くなら良し!」
「いいのかそれで!?」
この兄弟の考えが時々どころか割としょっちゅうよく解らない。今も解らない。
「つかお前、また仕事サボって来
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