聖夜に祝福を
[4/17]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
クロスを悩ませている姉はギルドにいない。同居するヴィーテルシア曰く「図書館で借りた本の返却期限が今日だから、返してから来る」そうだ。「返すついでにあれこれ読むだろうから昼頃まで顔を出さないかもしれない、と伝えておいてと言われた」とも言っていた。でもってエルザはクリスマスのケーキに今から集中していて、つまりはナツとグレイの喧嘩を止める人は特にいない。が、いざいがみ合いかけた二人の視界に悩ましげなクロスがいた訳で、相手への苛立ちよりも彼への心配やら興味やらが勝って今に至る。
「ほら、もうすぐだろう?」
「何が?」
「…ドラグニル、まさかお前からそう言われると思わなかった」
即座に聞き返したナツに、呆れを滲ませた声でクロスが返す。それとは逆にグレイは「ああ」と思い出したように頷き、ハッピーも魚を頬張りながらこくこくと頷いた。
「十二月二十五日、といえば?」
「クリスマスだろ?」
「それ以上に大事な日だろうドラグニル!忘れたとは言わせんぞ!」
「忘れた」
「ああああああああああああ!」
ガタン!と派手に音を立てて立ち上がり、更に絶叫。ギルド中の視線がクロスに集中する。だが本人はお構いなしに、びしっとナツに指を突き付け真剣な声色で言った。
「いいかドラグニル、その脳にしっかり刻めよ」
「お、おう」
「十二月二十五日は―――――姉さんの、誕生日だ」
…。
……。
……あ。
「そういやそうだった―――――!」
「完全に忘れていたなお前!何をどうしたら姉さんの生まれた記念すべき日を忘れられる!?姉さんが、俺の姉としてこの世界に生まれてくれた日だぞ!?ああ…姉さん、俺はあなたの弟で幸せだ……あなたが姉である事がこれ以上ない幸せだ……!」
思い出して叫ぶナツ、誰もいない斜め上を見上げて手を祈るように組むクロス、「マジで忘れてたのかコイツ」と呆れ顔のグレイ、魚を食べ終えたハッピー、初めて聞いた相棒の誕生日にとんでもない速さでこちらを見たヴィーテルシア、何でかその場にしゃがみ込んだライアーにそれを心配するアラン、「あ、アイツクリスマス云々じゃなくて誕生日に告白しようと考えてたのか。多分無理だな」とやはり的を射た考えを巡らせるスバルと、その瞬間ギルドのあちこちであれこれと起きていた。ティアの影響力やべーな、とアルカが密かに思う。
「え、ティアの誕生日ってクリスマスなの?」
「ジュビア初めて聞きました!うう、知ってたらもっと早くからプレゼント考えたのに……!」
「はっ、そういえばそうだったよう!」
「シュトラスキーお前もかああああああ!」
「僕の記憶力ナメないでよね!アルカの誕生日だって覚えてるか怪しいんだから!えーっと…六月十六日、だっけ?」
「六月十
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ