540部分:第七十七話 最後の八大公その三
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第七十七話 最後の八大公その三
「インドですからカレーを食べましょう」
「是非共」
「カレー以外にありませんし」
「カレー以外にはですか」
それを聞いてサングラスの奥で微妙な顔になるムウだった。
「それはまた」
「あの、ムウ様まさか」
「カレーがお嫌いとか」
「そういうことですか?」
「いえ、それはありません」
カレーの好き嫌いはないと答えはした。
「カレーは好きな方です」
「そうですよね。ギリシアにもインド人いますしね」
「あの人達のカレーがありますから」
「ですから」
「ただです」
しかしここでムウはまた言うのだった。
「あのカレーはインドのカレーではありません」
「あれっ、そうなんですか!?」
「あれ本場のカレーって言ってますけれど」
「違うんですか?あれって」
「チキンカレーも野菜カレーも」
流石に彼等もインドでは牛肉を食べないことは知っている。インドでは宗教的な理由で牛肉を食べない者が多い。従ってビーフカレーというものはないのだ。
「本場のカレーって宣伝してますし」
「それで食べてたんですけれど」
「凄く美味しいですよ」
「ちゃんとお米使ってますし」
「インド人は商売上手です」
ムウはこのことも話した。宗教やカーストが大きく影響するにしてもインド人もまた天性の商人であることはよく知られていることなのである。
「ですからそうした宣伝は普通です」
「えっ、それじゃあ何か」
「過剰宣伝じゃないですか」
「そうですよ、それって」
「ですからそれも商売のうちです」
こう言ってそれはそのまま受け入れているのだった。
「ですから特に驚かれることはありません」
「そうだったんですか」
「じゃあ辰巳さんのお店のカレーも」
「あれもやっぱり」
「あれは日本のカレーです」
ムウはそれであると青銅の四人に話した。
「とろりとしたカレーですよね」
「はい、何かお米も柔らかくて」
「そうしたカレーですけれど」
「あれは日本のカレーです」
それであるとまた話すムウだった。
「日本のカレーはまた独特なのです」
「何かカレーっていっても」
「色々なんですね」
「本当に」
青銅の四人はこのことをあらためて強く思うのだった。
「じゃあ本場のカレーって一体どんな」
「どんなのなんでしょうか」
「はっきり言って全然違うよ」
「それ見て驚くかもね」
魔鈴とシャイナはこう言うのだった。
「そのカレー見たらね」
「そもそもカレーじゃないしね」
「ああ、そうですね」
「カレーじゃないですよね」
彼女達はこのことも知っていた。インドではカレーとは呼ばれないのである。それでは一体何と呼ばれるかである。その呼ばれ方は。
「カリーでしたよね」
「確か」
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