EX回:第1話<嵐の向こう側>(改2)
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…」
赤城さんの黒髪も夕立同様、四方八方に爆発している。
ところが彼女は、そんなことは一向に気にしないで一心不乱にボリボリと何か食べてる。さすが一航戦、強い。
私と目があった彼女は、すまし顔で菓子袋を掲げた。
「食べまふ?」
「いや、良い」
私は苦笑した。
……その空間が数分続いただろうか?
機体は突然、何かから解き放たれたようにフワッとした浮遊感に包まれた。
同時に下降する感覚があり、機長が慌てて操縦かんを起こしている。
「おええっ」
後ろからの声……夕立だな。
機外は、再び明るくなっていた。今までとは違う場所へ移動したのか?
私は状況を確認しようと機長の問い掛けようとして、止まった。
(この機を主管しているのは参謀だよな……)
そう思った私は横の席を見た。
「あ?」
思わず声が出た……技術参謀が気絶していた。
(可愛そうに白目剥いているよ)
「……おまけに、若干のよだれも」
そう言いながら青葉さんが躊躇わずに写真を撮る。
「おいおい、大丈夫なのか?」
さすがは記者というか、神経が図太いな。
「バレたら参謀に半殺しにされるわよ?」
龍田さんもホワホワと言う。
「平気、平気」
そのまま青葉さんは写真を数枚、連写している。
「どうなっても知らないわよ?」
珍しく秘書艦が口を開いた。その意外さには、機内の艦娘たちも、ちょっと驚いた感じだった。
日向が言う。
「秘書艦は参謀をご存知で?」
「ええ、私も横須賀に居たことがあるから」
祥高さんは微笑んだ。そうか、彼女はあっちの出身か。
「横須賀……ああ、中央ですね」
ファインダーを覗きながら青葉さんが相槌を打つ。
「参謀も美人さんですね」
青葉さんの言葉に私は改めて参謀の顔を、まじまじと見詰めた。
(……)
今までは怖いので直視出来なかったのだが、その眼鏡の下の素顔は確かに美人系だ。
「イイなぁ、美人は絵になるなぁ」
呟きながら撮影を続ける青葉さん。こうなると遠慮が無いな。
やがて機体は、ゆっくりと降下を始めた。
「あれ?」
私は改めて窓の外を見た。
「あぁ、晴れましたね」
夕張さんも窓から目を凝らしている。いったいどうなってるんだ?
「ねえ、見て見て!」
誰かが叫んだ。
よく見ると水平線の遥か向こうに陸地と、その海岸線に立ち並ぶ港湾設備らしき建物が見えた。
「あれがブルネイか?」
私の言葉に機内の艦娘たちも、いっせいに窓の外を見た。
「ついに来たのね……」
赤城さんが呟く。
機体は徐々に高度を落とし、澄んだ海面が見えるようになった。
「わぁ、キレイ」
以外に無邪気な夕
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