『透明なCO2に色がつき』
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使わずに植物を増やさないとだめだよね」
公園の緑化が環境事業とか、公園の子供向け遊具設置が少子化対策の育児支援とか――人間は小さな世界だけに焦点を当てている。大きな世界に目を向ければ、命を粗末にすることなのに、マスコミは自然環境を維持し命を大切にすることのように語りかけてくる。
「環境問題はすべて税金を使う口実になっている。だからもう聞きたくなくなった」
「先生がマスコミとかに告発すればいいんじゃないですか?」
CO2はたしかに地球温暖化ガス全体の65%を占める。パーセントは最大である。だからなのか。2%を占めるフロン類は無視している。たしかにフロン類の存在はわずかである。しかしその温暖化に寄与する係数は、CO2を「1」とすれば、フロン類のそれは、「100」倍から「14800」倍以上にも達する(注8)。
生徒は言う。
「それじゃあ意味がないんじゃないですか?」
ぼくは自説を繰り返す、
「植物を増やすには税金は必要ない――お金を使わないことは最も効率的で平和的な地球環境の保全である」
「何もしなければ植物はどんどん増えるんですよね?」
ま、ぼくだってもちろん知っている、もしそれ――税金を使ってお上に何かやってもらうこと――を庶民が豊かさと思って求めているのなら仕方のないこと。欲にまみれたゆえに盲目の庶民は実際お上が税金を使うことを求めている。悲しいかな。結果すなわち庶民はまるで自らに増税を求めている――」
「増税を求めているんですか?――ぼく、税金はないほうがいいよ!」
「君たちは目が覚めた。盲目とは無知である」
補助金欲しさの原子力発電所、補助金欲しさの水素社会。あるいは公園の草が伸びた、木の枝が伸びたすぐ切ってくれ、などなど。
けれど、ならば仏陀は言うだろう、
「人間は生でヨモギを食べて良薬口に苦しで健康になることを望んでいる。人間は常に幸せに向かっている」
教師としてならぼくは言うだろう、
「とは言え君たちは将来のある大学生。だから賢くなって。いや賢くなってわたしもあなたも生でヨモギを食べなくていいように。命豊かな地球社会を作ってよね、明るい未来、がんばってください。平和のために」
◇◇◇◇ ◇◇◇ 注 ◇◇◇ ◇◇◇◇
(注1) 地球温暖化白書
地球温暖化の原因や対策、影響、そして国の取り組みなどを記したもの。
(注2) 生でヨモギを食べること。
チェルノブイリには、苦いヨモギという意味もある。旧ソ連のウクライナにある原子力発電所の名前で、1896年に起きた事故はその被害の甚大さによって有名である。
(注3) CO2を出さないからだめなのだ。
ここでは燃料である水素を製造する過程でのCO2の排出は議論していない。水素を燃料とす
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