『透明なCO2に色がつき』
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い」とぼくは言う。
「君はどう思う?」
「原子力発電所って、福島の事故でもウランを燃やして放射能汚染する被害が大きいですから、火力発電所のCO2のほうが聞いているとよさそうな気がしますが――ただ百年二百年先となるとぼくも何がいいのか、やはりよくわかりません」
また別の生徒も言った、
「ぼくも未来に託すべきだと思います。将来科学技術が進んで原子力や水素社会がクリーンで経済的にも当たり前になる可能性が否定できないと思います」
「それでいまのわたしたちの暮らしは?」
「・・・・・・」
「よくわからない。それはやはりどこか何かがおかしいからだ」 とぼくは言う。「今日の行為が明日の姿という言葉もある。とりあえずいまぼくたちわたしたちの明日についてここでは話したいと思う」
原発だって燃料電池車だって地球を暑くすることには違いない。人間はお金を使えば使うほど、エネルギーを熱に変えることになる。人間はお金を使うことがエネルギーを消費する行為であり、その結果から生じる環境破壊からは目をそむけて気づこうとしない。
ぼくは言う、
「お金を使えば使うほど環境破壊は進む」
生徒が言う、
「でも燃料電池車って水しか出さないから、インフラに初期投資でお金がかかっても十年二十年で普及してしまえばいいんじゃないですか?」
「未来の水素社会?」
「ええ。明るい水素社会。温暖化の防止にはなるんじゃないですか?」
「その温暖化というのは緑豊かな世界でのものではなく、たとえば都市砂漠でみられるような激烈なやつだね」
「ええまあそうです」
「水素社会がどれだけ普及するかあやしいんだけれど」とぼくは言う、「仮に水素社会が実現し燃料電池車が普及したとして、その水素はでも化石燃料、つまりガソリンや灯油から作るらしいよ(注5)」
「CO2を出すんですか?」
「そう」
それからさらにぼくは言わなきゃならない、
「H2Oなら問題ない、自然に優しいと思われているけれど、H2OはCO2同様、ほら水蒸気、あれはだって立派な温暖化ガスだからね」
これは高校の化学の教科書にも載っている(注6)。
そう言うと、
「へえそうなんですか」ってみんな驚く。
ぼくは言う。
「水蒸気が多いと熱がこもって暑くなるのだよ。逆に晴れた夜などは放射冷却で冷える。特に冬はぐっと冷え込む」
生徒は言う、
「燃料電池車は水を出すんですか」
「もちろん」
2H2 + O2 → 2H2O
車を走らせて出てくるH2Oは半端じゃない。トータルでは化石燃料を使ってCO2と熱とH2Oを出す。ぼくはこりゃあだめだって思った(注7)。もし莫大な税金を使って燃料電池車を普及させたら。
お金はエネルギーになる。エネルギーは熱になる。
「夏なんていま以上にもっ
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