第四章
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「そこは注意してね」
「というかちゃんとお掃除しないと」
「そうよ、駄目よ」
銀一の母が息子に注意した、素麺も彼女が茹でたものだ。
「お母さんがいなくてもね」
「それでもっていうんだね」
「ちゃんとしないと、咲ちゃんにも言われるわよ」
「そんなこと言っても」
「そんなことじゃないの」
どうしてもという返事だった、母のそれは。
「漫画家さんでもお部屋位は奇麗にしなさい」
「ちゃんとだね」
「そうよ、咲ちゃんも言ってるでしょ」
「あの、私は別に」
引き合いに出された咲の言葉だ。
「それは」
「いいの、お掃除位しないと」
銀一の母は引き合いに出した咲にはこう言った、自分も素麺を食べながら。
「健康に気をつけていてもお部屋のお掃除もしないと」
「だから今忙しいんだよ」
「言い訳はいいの」
「じゃあ仕事が全部終わったら」
「そうよ、ちゃんとしなさい」
こう息子に言うのだった、そしてお昼の後だ。
咲は銀一の部屋、よく入っている部屋に実際に入ってこう言った。見れば積まれている本達以外にもゴミが増えていた。幸い銀一は間食も煙草もしないのでそうしたゴミはないがだ。
以前よりも遥かに散らかっている、それでこう従兄に言ったのだ。
「叔母さんの言う通りね」
「掃除だね」
「ちゃんとしないといけないかも」
「だから仕事が全部終わったら」
「本当に?」
「するよ」
従妹にもこう言った。
「それは絶対だから」
「約束よ、じゃあお仕事頑張ってね」
「漫画読んでてね」
相手は出来ないがだ、そんな話をしてだった。
銀一は仕事をし咲は漫画を読んだ、銀一は読み切りも脱稿して問題のコミケの作品も描きサイトの漫画も描いた、その修羅場を終えてだ。
その日たまたま家に来ていた咲にだ、こう言った。死にそうな顔で。
「終わったよ、全部」
「そうなの」
「今丁度ね」
見れば十一時だ、その時の言葉だ。
「今日も走ってお風呂に入ったけれど」
「それからお仕事して」
「朝御飯食べて歯を磨いてね」
日住生活は忘れていない銀一だった。
「全部終わったよ、今」
「おめでとう、お兄ちゃん」
咲はその全てを終えた銀一に笑顔でこの言葉をかけた。
「頑張ったわね」
「うん、本当にこの夏は大変だったけれどね」
「それがなの」
「全部終わったから」
「どうするの?」
「今からお昼食べてずっと我慢していたお酒飲んで」
実は銀一は酒好きだ、間食や煙草をせず規則正しい生活を送っているがこちらは大好きなのだ。
「ゆっくり休むよ」
「えっ、何言ってるの?」
開放感を全開にしている銀一にだ、咲は少し怒った顔で言い返した。
「お昼食べたらお掃除よ」
「えっ!?」
「えっ!?じゃなくてよ」
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