第三十二話 長崎での日常その十五
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「ヤクザ屋さんよ」
「そうした類の人ですか」
「そもそもお坊さんや神父さんが関わりがあったのに」
今はそうでもないという、賭場やテキ屋で関わりがあったのも今は昔のことだ。映画会社、芸能プロや飲み屋もそうした筋の者が関わっていることが常だった。
「学校の先生だけが聖職者か」
「そうでもないんですね」
「それにお坊さんや神父さんは宗教を学んでいるのよ」
彼等自身がだ。
「そこで教理、倫理も備えていることが多いから」
「ヤクザ屋さんと付き合っていても」
「歯止めが効くのよ」
倫理というそれがだ。
「だからましなの、けれどね」
「学校の先生は違いますか」
「特にね」
「特に?」
「日教組の先生は神も仏も信じないことが多いわ」
「どうしてですか?」
「共産主義だからよ」
このイデオロギーを信奉しているが故にというのだ。
「共産主義は宗教を否定しているでしょ」
「そういえばそうですね」
「学校の授業で教わったでしょ」
「はい、確かに」
「だから宗教を否定しているから」
それ故にというのだ。
「そうした倫理を備えていないよ」
「宗教のそれを」
「道徳教育も否定していたから」
日教組はこれを戦前の修身か何かと勘違いして批判していたのかも知れない、子供に教えるべきものを教えていなかったのだ。
「そうしたものを備えていないのよ」
「だからですか」
「そう、倫理もない人がいるの」
「とんでもない先生が多いんですね」
「だからいい鉄は釘にならなくてね」
またこの言葉を言った副所長だった。
「いい先生はね」
「日教組には入らないんですね」
「そうしたものよ」
「このことも覚えていて」
「その先生には近寄らないでね」
「そうします」
「変なマスコミとも付き合いがあるからね」
このことについても話した副所長だった、そうしたことを話してだった。優花はその衝夫という教師について警戒することにした、だがこのことは優花にとって危うい運命のはじまりだった。
第三十二話 完
2016・8・5
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