535部分:第七十六話 最後の封印へその五
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第七十六話 最後の封印へその五
「一体何を」
「私はトラキアを見ています」
顔をムウの方に少し向けての言葉だった。
「トラキアをです」
「そうですか。トラキアをですか」
「はい」
まさにそうだというのだった。
「その通りです」
「ではトラキアには一体何が」
「今は何もありません」
ないというのだった。
「何もです」
「今は、ですか」
「間違いなく何かを考えています」
しかしそれは感じ取っているのだった。この辺りは流石であると言えた。
「ですから。御注意を」
「トラキアでもまた、ですか」
「アーレスの降臨だけではなく」
「その何かもなのですね」
「彼等が何か。それもまた問題なのです」
シャカの声はいつも通りだがそこには深く見ているものがあった。
「アーレスだけではないのですから」
「ではこの戦いが終わっても」
「戦いはそれからです」
シャカの今度の言葉は断言であった。
「私達の戦いはです」
「アーレスの降臨だけは防ぎたいですが」
「それは最悪の結果です」
「最悪の、なのですね」
「そうです」
まさにその通りだというのだ。
「ですがその最悪の事態になってもです」
「なろうともですか」
「私達は戦わなければなりません」
強い言葉になていた。シャカのそれにしては珍しくだ。
「必ずです」
「そうですか。必ずですか」
「その通りです。何があろうともです」
それは絶対に引けないというのだった。シャカもまた。
「アーレスが復活してもです」
「そうなろうとも」
「それでは貴方に御聞きします」
ムウに対する言葉だった。
「宜しいでしょうか」
「はい、それは」
ムウもまた強い表情でシャカの言葉に頷く。
「何があろうとも」
「私もそれは同じです。そして」
「そして?」
「黄金聖闘士ならば誰もがです」
その心は同じだというのだ。
「誰もがアーレスがこの世界に現われようとも怯みません」
「そうですね。では」
「行って下さい」
ムウを見送る言葉だった。
「戦いに」
「わかりました」
こうして出陣するムウだった。白羊宮を出て戦場に赴く彼の前に二人出て来た。
「私達が」
「お供させてもらうよ」
「貴女達がですか」
ムウは彼女達を見て言った。一人は赤髪に仮面の女でもう一人は緑の髪に仮面の女だった。聖闘士が女であった場合には仮面を着ける、それを守ってのことだ。見れば二人共実に動きやすいジーンズをはいている。そこもまた戦士らしい服装であった。
「イーグルの魔鈴に」
「ああ」
「蛇使い座のシャイナ」
「そうさ。あたし達がだよ」
まさに彼女達がというのである。
「教皇の御命令でね」
「それでいいね」
「早いですね。もうですか
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