534部分:第七十六話 最後の封印へその四
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第七十六話 最後の封印へその四
「我々にはアテナがおられぬ」
「はい、それは確かに」
「アテナは」
「だが聖戦が行われている」
アテナがいなくともだ。それは行われているというのである。
「そして聖戦にはだ」
「はい、何があろうとも」
「勝たなければいけません」
それは言うまでもなかった。絶対のことであった。
「その通りだ。ではムウ」
「はい」
「インドに行くのだ」
また彼に告げたのだった。
「よいな」
「はい、それでは」
こうしてムウの出陣が告げられた。そうしてそのうえで話が終わった。ムウが今まさに出陣しようというその時にだ。白羊宮にシャカが来たのだった。
「貴方がですか」
「はい、そうです」
彼は目を閉じたまま応えてきたのだった。
「貴方に伝えておきたいことがありまして」
「私に」
「宜しいでしょうか」
また言ってきたシャカだった。
「それでなのですが」
「戦いのことでしょうか」
「そうです。インドですね」
その戦場となる場所について問うたのだった。
「そこですね」
「はい、そこです」
まさにそこだと答えたムウだった。
「インドですが」
「インドは私の祖国です」
シャカはまずそのことを述べてきたのだった。
「あの国のことはよく知っています」
「そうですね。あの国のことは」
「聖もあれば魔もあります」
そして次はこんなことを言うのだった。
「どちらもです」
「それがインドという国なのですか」
「その通りです。インドにある魔は狂闘士達にとっても使えるものでしょう」
シャカは目を閉じたままムウの前に立ち告げるのだった。
「それに御注意下さい」
「確かルキフグスは」
その出て来ると思われる魔神についても話される。
「魔神達の中で最もバランスの取れた者だとか」
「そうです。八大公にはそれぞれ癖があります」
それがあるというのだ。
「その中でも、です」
「とりわけなのですね」
「魔を使うこともあるでしょう」
「それに気をつけてなのですね」
「そうです。ただ魔物達を操るだけではありません」
シャカは言った。
「その充満している魔を使うことも考えられます」
「そうですか。それでは」
それを聞いて応えるムウだった。
「私もまた」
「その都度冷静に戦局を御覧になって下さい」
今彼がムウに告げるのはこのことだった。
「宜しいですね」
「わかりました。それでは」
「では」
ここまで話すとだった。話を止めるシャカだった。そうしてムウが身支度に入ろうとする前に去ろうとする。だが今度はムウが彼を呼び止めたのだった。
「そういえば貴方は」
「何でしょうか」
踵を返して一歩前に出たところで立ち止まって言葉を返した。
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