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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十二話 決戦、ガイエスブルク(その2)
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延びるために戦っているのだ、死ぬためではない。敵を引きつける為の消耗品扱いなど認める事は出来ないだろう。エーリッヒはそこまで考えて攻撃をかけてきているはずだ。
「卿の言いたい事は分かる。だが予備の投入を判断するのはグライフス総司令官の権限だ。我等がとやかく言うことではない。それにまだ突破されたわけでも混戦になったわけでもない」
ブラウラー大佐がガームリヒ中佐を宥めたがガームリヒ中佐は諦めなかった。
「総司令官に意見を具申してはどうでしょう」
「それは止めた方が良い。前線で戦っている総司令官に圧力をかける事になりかねない」
ブラウラー大佐が首を横に振って反対した。同感だ、後方に居る我々が総司令官に圧力をかけるような事をすべきではない。
「ブラウラー大佐の言う通りだ、中佐。グライフス総司令官を信じよう。我等が総司令官を軽んじるような行動を取れば、前線の指揮官達にも同じような行動を取るものが出かねない」
「小官は総司令官を軽んじているわけでは……」
「分かっている。だがそう取りかねない人間も居るのだ。我々は総司令官の立場を弱めるような事をするべきではない」
ガームリヒ中佐は渋々だが俺の言葉に頷いた。
「大佐の言う通りまだ突破されたわけでも混戦になったわけでもない。少し落ち着こう。中佐、敵の右翼に振り回されるな、左翼が本命と言う可能性も有るのだ」
味方の左翼は少しずつ後退している。少しずつガイエスハーケンの射程内に近付きつつある。予定通りだ、振り回されるな、落ち着くんだ。
帝国暦 488年 3月 3日 18:00 帝国軍総旗艦 ロキ エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
「なかなかしぶといですな」
感嘆するかのようなリューネブルクの言葉に俺は黙って頷いた。まったくだ、敵の左翼はしぶとい。リューネブルクの発言に応えるかのようにワルトハイムやシューマッハもしきりに敵のしぶとさに感嘆(?) 或いは呆れたような声を出している。
自分が戦っているのでなければ素直に感嘆できるのだが、戦っている本人としては黙ってココアを飲みながら頷くのが精一杯だ。口を開けば何を言い出すことか……。
グライフスの指揮も良いのだろうがキフォイザー星域会戦で戦ったヘルダー、クライストが良く戦っている。予想できた事では有るが余り嬉しい事ではない。貴族連合軍は戦うごとにしぶとくなっていく。まるでこちらが連中を鍛えているかのようだ。どういうことだ?
敵がしぶといのは後が無いという恐怖感も有るだろうが勝てるという希望もあるからだろう。絶望だけでは此処まで整然とは戦えない、何処かで自暴自棄になる。
ガイエスブルク要塞の主砲を利用してこちらを撃破しようというのだろう、主砲の射程内に入るまでは突破はさせない、混戦に持
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