533部分:第七十六話 最後の封印へその三
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第七十六話 最後の封印へその三
「トラキアはアーレスの復活を目論んでいる」
「あの者達の主神の復活を」
「目論んでいるというのですね」
「そうだ。若しそうなればだ」
シオンの言葉が深刻なものになった。その声で言うのであった。
「トラキアの力は比較にならないものになる」
「では教皇」
サガが深刻な顔で問うてきた。
「その場合は」
「そしてだ」
さらに言うシオンであった。サガに応える形で。
「アーレスだけではない」
「といいますと」
「一体」
これには他の黄金聖闘士達もいぶかしむ声をあげた。片膝をついたままであってもそれでもそれぞれ顔をあげて言葉を出していたのである。
「まだ何かいるのでしょうか」
「だとすれば」
「冥皇ハーデスには二柱の腹心の神々がいたな」
シオンはまず彼等のことから話した。
「眠りの神ヒュプノスと死の神タナトス」
「はい」
「あの神々ですか」
彼等のこの二柱の神々のことは知っていた。先の聖戦においてもその恐ろしい力を見せたその彼等のことはだ。よく知っていたのだ。
「あの神々の様な存在といいますと」
「エリスの他にですか」
「まず争いの神エリスがいる」
シオンはまた言った。
「あの女神はアーレスの第一の側近だ」
「確か」
ここでアイオロスが言った。
「冥界で言うとパンドラの様な存在だったかと」
「それに近い」
それは認めるシオンだった。
「しかしだ」
「しかし」
「エリスは神だ」
このことも言うのだった。
「神だ。そこがパンドラとは違う」
「つまりあれですね」
デスマスクの口調はわざと軽口を出しているものだった。
「神様だから何もかもが半端じゃないってことですよね」
「パンドラはタナトスとヒュプノスの下になる」
ここが複雑なのだった。
「人であるからだ」
「しかしエリスは神」
今度はシュラが言った。
「そしてアーレスの妹となると」
「その地位はまさにアーレスの巫女」
アフロディーテは彼女をそうしたものと考えた。
「そうなりますね」
「そうだ。エリスはアーレスの代理にもなる」
シオンもそのことを認めた。
「丁度今あの女神がトラキアを司っているのがまさにそれだ」
「そしてですか」
カミュも言ってきた。
「そのエリスの他に」
「またトラキアに神が降臨する」
アルデバランもであった。
「そうなると」
「ではアーレスも入れて」
アイオリアもまた言う。
「トラキアにはさらに神々が集うと」
「それに対して我々は」
サガの言葉はやや危惧したものだった。
「アテナがおられない」
「そうだ」
シオンもまたそのことを指摘した。
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