第41話『予兆』
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でしょ!?」
「ボクがハルトに嫁ぐ?」
「え、あ、待って、そういう意味じゃなくて…!」
「ふふ、冗談だよ」
穏やかだった食卓が一気に騒がしくなった。ユヅキの言葉に晴登が清々しいくらいに翻弄される。
その様子を見てユヅキは笑うが、晴登にとっては顔を真っ赤にされる威力の爆弾発言だ。
「俺のさっきの覚悟が無駄になるだろ…」
「覚悟って?」
「こっちの話」
馬鹿みたいに焦った約1時間前。
それから気持ちを切り替えたはずだが、まだすぐに揺らぐ程度のようだ。
晴登はヤケクソになって、朝食を頬張る。
「……ごくっ。よし! ラグナさんとこ行こう!」
「唐突だね。でももうちょっと待って」
「あーはい…」
自分だけ食べ終わったが周りが食べ終わってないという、一種の仲間外れ感。それを感じつつ、晴登はユヅキの食べ終わりを待った。
何かを準備する訳でもないので、本当にただ待っていた。
*
「相変わらず天気が悪いな」
「雨が降るようには見えないけどね」
「それが唯一の救いか」
頃合いの時間になり、王都へ向かっていた道中。晴登がふと空を見上げて放った言葉だ。
見ただけで厚いとわかる白い雲に覆われ、太陽の光は完全に遮られている。
ユヅキの言う通り、雨が降るとは考えにくい天気だが、晴れになるとも思えない。
気になるが気にしない。そう決めた頃、王都までの道のりの間に存在する森に入った。
「そういや何も気にせずにここ歩いてたけど、この森って迷ったらヤバいよね?」
「まぁ王都を囲む感じで広がってるから、そうかもしれないね」
「マジか」
晴登は身震いし、その後足元を見てそれなりに整備された道を見て一息。
森で迷った経験などないが、もし脇道に逸れでもしたら帰ってこれないのは明白。そこまでにこの森は鬱蒼としていた。
つまり、この通路様々である。
「にしても──何か変だよ」
「え?」
唐突に放たれたユヅキの言葉を聞き、晴登は辺りに意識を向ける。…いつもと同じ、暗く青々とした風景が広がるだけだった。
「何かおかしい所がある?」
「ハルトは2日しか通ってないからわからないだろうけど・・・ボクにはわかる。いつもと森の様子が違うんだ」
「え…?」
晴登は眉間にシワを寄せ、また辺りに見回してみる。しかし一昨日や昨日と比べて、何の変化も感じられない。
ユヅキの言う“森の様子”は、外観ということではないようだ。
だとすれば・・・
ガサッ
「「っ!?」」
不意に背後から響いた、草がざわめく微かな音。二人は反射的に振り返る。その時見えた
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