第41話『予兆』
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友達として意識していれば良かったものを、男女という風に意識したから起こったことだ。
・・・友達とはいえ男女が同じ屋根の下で寝るのはどうなのか、という疑問はこの際忘れよう。
とりあえずユヅキと顔を合わせる前に、平常心に戻らなければならない。さもなくば、今日1日に支障をきたしてしまう。
「ふぅ…」
晴登は一喝とばかりに頬を叩く。
冷たい水での洗顔も合わさり、随分と気持ちが落ち着いた。
余計なことは考えずに、今まで通りを心掛ける。
残り1日と少し。その間、彼女との別れに未練を残さないようにした方がいい。
晴登は独りでに口角を上げ、
「朝ごはん、作ってやるか」
清々しい笑みを浮かべた。
*
「おはようハルト・・・っておぉ!?」
目覚めてからテーブルに目を向けたユヅキが驚愕の声を洩らす。寝起きだというのに目は見開かれており、その反応に晴登は小気味好いものを感じた。
「おはようユヅキ。見ての通り、朝食を準備したよ」
「う、うん…ありがとう。にしても、見たことない料理だね」
「俺の地元料理・・・って言いたいところだけど、全部創作料理なんだ」
昨日とは違い、異世界での料理の勝手はわかっていた。それでも変わらなかったのは、この世界独特の食材である。
お陰で晴登は現実世界の料理を真似できず、試行錯誤しながらの料理となった。
しかし、我ながら良い出来だと思う。
「う…ボクのより美味しそう…」
「え!? そんなことないって! ユヅキのだって美味しいと思うよ」
ユヅキが悔しそうな表情をするので慌ててフォロー。もちろん、本心からの言葉である。
ユヅキは少しだけ恨めしそうにこちらを見たが、すぐに破顔して席についた。
晴登もその向かいに座る。
「「いただきます」」
2人の声が重なり、朝食をゆったりと食べ始める。
途端、ユヅキが舌鼓を打った。
「美味しっ! え、何これ!?」
「そ、そんなに美味しい?」
「うん! ハルトって料理の才能あるね!」
「う、うん。ありがとう」
あまりにも真っ向からの感想だったので、照れながら応える。正直、料理で誉められた事はあまりないから、いざ言われると嬉しい。
頭を掻きながら喜びを噛みしめていると、
「・・・何だかハルトってお嫁さんみたいだね」
「ぶほっ! ちょ、何をいきなり!?」
ユヅキの発言にたまらず噴き出す。何とか努めて被害を最小限に減らしたが、心には中々のダメージが入った。
「え? だって料理上手だし」
「それだけで!?」
「ハルトに婿入りするのも悪くないかな〜」
「いや普通逆
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