真・魔人-ファウスト・ツヴァイ-part2/怨念の鎧
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でかしたことを許すわけに行かなかった。似たような過去を持ち、それを理由に過ちを犯したサイトだからこそ、なおさらそう思わずにいられなかった。
『けどサイト、ハルナという人質を自ら捨てたってことは…ウェザリーには絶対の自信を持つだけの力があるってことだ。油断せずに行くぞ!』
『おう!』
ゼロからも気合の言葉を受け、サイトはゼロアイを目に装着し、ウルトラマンゼロへ変身した。
「デュワ!」
変身した彼を見て、ファウスト・ツヴァイとなったウェザリーが振り向く。
「やはり来たか…」
「これ以上、お前の好きにはさせるかよ!」
指差しながらファウスト・ツヴァイに宣言するゼロ。もはやハルナという盾を自ら捨てたウェザリーに対して躊躇うことなど何もない。しかしファウスト・ツヴァイはゼロに対して言い放った。
「この国を守ることに何の意味があるの?あなたも知っているでしょう。伝統と規律を重んじると抜かしておきながら、その裏では汚い手段に手を染め、自らの故郷を腐らせる愚かな貴族たちが支配するこの国…トリステインを」
確かに、この国には汚い人間がいた。モット伯爵、ワルド子爵、チュレンヌ徴税官、リッシュモン高等法院長…奴らは己の野望のためならば、自分の国さえも腐らせることをいとわなかった。そのせいで苦しめられた人などどれほどいるのだろう。リッシュモンの卑劣な野心のために、ミシェルのような犠牲が出てしまったことなど、きっとざらだろう。今に始まったことじゃない。
「正義をなすべきウルトラマンゼロが、そんな愚かな人間の肩を持つというの?」
挑発するような言い方でゼロを翻弄しようとするファウスト・ツヴァイ。
「…確かに、この国で俺は汚いものを何度も見た。罪もない人が、権力者に虐げられ、命を失い、不幸になっていく…あんたもその一人だった」
モット伯爵の破廉恥な欲望のために連れて行かれそうになったシエスタ、婚約者に裏切られたルイズ、リッシュモンのせいで運命を狂わされ最期に死を遂げたミシェル…。
「けど、だからってあんたが今やろうとしていることも、あんたがハルナにこれまで強いてきたことも許すわけにいかない。たとえ…過去にどんな辛い思いをしてきたとしても」
それは、自分とゼロがそれぞれ経験したこと、二人でひとりとなって以降も犯してしまった過ちを経ての想いだった。自分もゼロも、これまで平和のために戦うことを誓いながら、その重いとは裏腹の結果を残してしまうこともあった。
だから、過去の遺恨を理由に、今を生きる人々に災いを振りまくこの女の悪事を許すわけに行かない。
「虫唾が走るくらいの高潔さね。ウルトラマンゼロ、本気で私とやりあう気?今のうちに逃げておくべきじゃないかしら?」
「俺は逃げねぇ。どんな敵が現れても………」
逃げるなんて選択肢など、最初からない。自分が逃げれば
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