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フロンティアを駆け抜けて
挑戦!バトルピラミッド
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ェムの目は、暗がりでもわかるほどはっきりと勝利の意思を宿している。

「『腹太鼓』よ!」
「リルリルリルッ!!」
「なっ!!」

 電々太鼓を叩くような弾んだ音が響く。可愛らしい音とは裏腹に、マリルリの力が一瞬にして限界値まで上がっていく。己の体力と引き換えに。その速度は、日の差さない状況の『せいちょう』で追いつけるものでは到底なかった。

「それじゃあ行くよ!」
「く、『ニードルガード』!」

 マリルリの接近に、幾重にも蔓の壁を作るノクタス。びっしりと棘の生えたそれは下手な有刺鉄線の強度を超えている。だが。

「ルリ、『馬鹿力』!」

 壁の前で渾身の力を込めて、両足を蹴って飛び小さな腕から右ストレートを放つ。まるで濡れたティッシュを千切るように壁が破れ、一気にノクタスの正面に立った。ジェムとマリルリの瞳が鋭くなる。

「これで決めるよ!ルリ、『じゃれつく』!」
「ま、待て!参った!参ったぁ!!」

 マリルリの拳がノクタスを殴りつける直前で、少年はボールにノクタスを戻した。降参ということらしい。それをぽかんと見つめるジェム。

「ノクタスを殺されるかと思ったぞ」
「そんな、大げさだよ」
「いや、目がマジだった……」

 少年には、さっきのジェムの攻撃宣言は自分が降参していなければノクタスが戦闘不能を通り越して再起不能になるのではないかとすら思えた。それほどまでに、ジェムの目は真剣だった。

「とにかく、俺の負けだ。……好きな道具、持っていけ」
「うん、じゃあもらうね」

 鞄を受け取り、荷物を物色する。最下層なので大したものは入っていないだろうと思ったら、結構な量が入っていた。一つの技を使いやすくするピーピーリカバーや瀕死を回復させる元気のかけらがある。

「ルリ、どれにするのがいいかな?結構体力使っちゃったし」
「……ほら、これを持っていけ」

 マリルリと目を合わせて話していると袋に入った砂らしきものを手渡される。ジェムが受け取り首を傾げると、少年は聖なる灰だと言った。瀕死の手持ちを全て回復させられるかなり貴重な道具である。

「どうして、私に?すごい道具なら自分で持っておいた方がいいんじゃ」
「勝ったやつがいい道具を持っていくのは当然の権利だ。それと……体力と技の使い過ぎには気を付けたほうがいいぜ。……俺みたいなその辺のトレーナーあいてにリスクのある技なんて使うもんじゃない」

 ジェムは素早い移動のためにアクアジェットを使わせていた。そしてさっきの腹太鼓。自分よりはるかに実力はあるが、このペースでは今勝つことが出来てもあっという間に技を使い果たしてしまい、頂上までたどり着くことは難しそうに見えた。

「ありが
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