暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
挑戦!バトルピラミッド
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「そのまま『じゃれつく』よ!」
「防げノクタス!」

 両腕を振り回して攻撃するマリルリに対して、ノクタスが棘のついた腕でガードする。殴りつけるたびにノクタスの体が後ろに下がっていく。それを見てジェムは指示を出した。

「いったん引いて、ルリ!」
「子供みたいに殴り続けちゃくれないか。意外と冷静だな」

 だが、ダメージを受けているのはマリルリの方だった。ノクタスはただ防いでいたのではなく『ニードルガード』を使って棘だらけの蔓で身を守っていた。単に攻撃を防ぐだけでなく、触れた相手を傷つけることを目的とした技だ。ゴムまりのように体を弾ませて後ろに下がるマリルリ。

「『ハイドロポンプ』!」
「そんな大技を使っていいのか?」

 マリルリの尾から、大量の水が噴射される。向こうのトレーナーは――何もしない。黙って攻撃を受け止めた。案山子のように微動だにしない。効果がいまひとつ、という程度ではない。完全に無効化されていた。

「悪いが俺のノクタスの特性は『貯水』だ。水タイプの攻撃は効かない。大事な技を無駄にしたな」
「……そうかも」

 相手の男はにやりと笑う。いくら水タイプの技が効果がないとはいえ、ハイドロポンプの勢いを受けて動かないのは不自然だ。ジェムがライトでノクタスの足元を照らすと、足から伸びた蔓が地面に絡みついている。地面からエネルギーを吸い取って回復する『根を張る』だ。

「でもその技を使ったら、自分からは動けなくなるはず。どうやって攻めるの?」
「必要ないな。攻めてこなければいけないのはそっちだ。トレーナーとのバトルはどちらかの体力がなくなるまで終わらない。そして俺のノクタスはこの場にいるだけで回復する。遠距離の水技は効かない。近づいて来ればニードルガードでそっちがダメージを受ける。ま、相性が悪かったな」

 少年はもう勝負は決まったとばかり壁にもたれかかる。そうしている間にも、ノクタスは体力を回復していく。

「攻める気は。ないのね?」
「この施設はいかに技と体力を温存するかが鍵だ。体力がなくなるまで終わらないと言ったが、降参してもいいんだぞ?その場合、マリルリは瀕死を回復する道具を消費しなければ使えなくなるし、道具も頂くけどな」
「そう、わかったわ」

 ジェムは少し考える。少年は、諦めるかあがくか考えているのだと思った。口には出さないが、根を張るで単に体力を回復すると見せかけ、さらに『せいちょう』も使っていた。ピラミッド内は日が差さないので効果は薄いが、もしマリルリが想定外の技を覚えていたとしても、上昇した攻撃力で対処できる。

「ルリ、ごめんね」

 諦めの混じった声。降参する気になったか、と少年はジェムの方を見た。だが違った。ジ
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