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フロンティアを駆け抜けて
挑戦!バトルピラミッド
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 ラティアスの瞳が輝き、強力な念力がサマヨールにぶつかる。サマヨールの瞳が不快そうに歪んだが、倒れるまではいかない。灰色の両手が一瞬光を放つと、ラティアスの体が震えた。

「やっぱり麻痺……今度は竜の波動!」
「きゅっ……う!」

 銀色の波動が、銃弾のように回転しながら飛んでいく。動きの遅いサマヨールは回避することもなく吹っ飛ばされ、地面に倒れた。するとその体がふっと消える。ヴァーチャルポケモンのHPが切れたということだろう。
だが、ポケモンが倒れても麻痺は残る。麻痺によって行動が遅くなり、また身動きが封じられれば次第に追い詰められていくだろう。

「ラティ、『リフレッシュ』だよ!」

 ラティアスの体が淡い光に包まれ、痺れが解けてゆく。ラティアスは自分の身を守る技が多く、また攻撃力も決して低くはない。この施設にはうってつけだ。

「とりあえず、最初は道具を集めたほうがいいよね……」

 回復手段があるとはいえ、それらの技も無限に使えるわけではない。やはり回復する道具は集めるに越したことはないだろう。そう思い、足元に気を付けながら歩き出す。野生のポケモンを倒したことで少し明かりの範囲が増し、進みやすくなった。

「あ、見つけた!」

 数十歩進むと、傷薬が落ちていた。拾って確かめてみると、『すごいきずぐすり』と書かれている。触った感触は、固いのにどこか弾力がある。ひとまずバッグにしまうと、突然光が飛んできて目が眩んだ。

「げっ……」
「他のトレーナー?」

 自分もライトで照らすと、朧げにだが相手の姿が見えた。ジェムよりいくらか年上の少年で、自分を見て困った顔をしている。格好は動きやすそうな薄手の赤い服で、頭に白いバンダナを巻いているのが特徴らしい特徴だ。お互いのライトが照らし合うと、明かりの色が黄色から赤色に変わった。これがバトルをしろという合図なのだろう。

「こんな所でバトルなんかしたくないんだが、仕方ないな。ほら始めるぞ」
「そういうルールだもんね。勝負は一対一……行くよルリ!」
「出てこい、ノクタス!」

 出会ってすぐにバトルを始めなければ失格になるルール上、のんびり話すことは出来ない。ノクタスとマリルリでは、お互いに効果抜群の技を決めることが出来る。ライトで照らしてみるとノクタスは少しふらついていた。麻痺か、ダメージを既に受けているのだろう。なら先手必勝だ。

「ルリ、『アクアジェット]!」
「ノクタス、『ニードルアーム』!」

 この暗闇では大きく動いて撹乱するのは逆効果。マリルリが一直線に突き進むと、ノクタスは大きく腕を振り上げて棘だらけの腕で殴りかかる。だがその動きは遅く、マリルリは最小限に横に躱してタックルを決める。
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