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フロンティアを駆け抜けて
挑戦!バトルピラミッド
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ような何の力もない女の子が後ろから思い切り殴り掛かられたらどうなるか考えてごらんよ」
「流石に抵抗できないと思うけど。それで道具を奪われちゃうってこと?」

 棘のある言い方を感じ取り、さっきの発言から推測して慎重に答えを言うジェム。またダイバはわざとらしく大きくため息をついて。

「0点。それじゃ結局不正でしょ。……暴行や淫行ならまだまし。殺人や強姦に遭うかもって、想像できない?」
「さっ……!?」

 本気で驚き、目をぱちくりさせるジェムを見て少しだけすっきりしたダイバは、それを悟られないように帽子を被り直す。

「まだわかってないようなら言うけど、今このバトルフロンティアには様々な場所からトレーナーが集められている。……つまり、どんな人間がいても不思議じゃないってことだよ。あの催眠術師みたいなロリコンが他にいないとも限らない。そういう人間から君みたいな呑気で世間知らずを守るためにこういうルールが必要なの」
「……そっか。ありがとう、心配してくれるんだね」
「は?」

 ジェムは今の言葉を警戒心が薄く世間知らずな自分への純粋な忠告と取ったのでお礼を言ったのだが、ダイバの神経を逆なでするだけであった。ジェムを突きさすような怒りが混じる。

「と、とにかく行ってくるね。あなたはどうするの?」
「……僕は適当にここで待ってるよ、また君が勝手に攫われないとも限らないし」
「さっきの今だし、大丈夫だよ」
「二日連続で攫われる人の台詞じゃないね。とにかく作戦を教えるから、言う通りにして」

 ダイバは勿論元々は自分で攻略するつもりでいた。なので攻略法も考えており、ジェムでは不安があるが自分より適しているのも事実。作戦通りにすれば、頂上までたどり着くことはたやすいだろう。

「気持ちは嬉しいけど、自分で考えて言っちゃ、ダメ?私の師匠の施設だし、自分の力でクリアしたいの」
「攻略できなかったらめそめそ泣く癖に?」
「……もう泣かないわ」
「言うこと聞かなきゃ、また殴るよって言っても……?」

 ダイバがジェムを睨む。10歳の子供とは思えないような厳しさと覇気、それに子供の残虐性が混じった顔。ジェムを震えさせ、心を折りかけた瞳。

「今の私じゃあなたには勝てない。でも……少しだけ、近づけてると思う。だから、信じて?」
「……ふん、つまらない」

 もうさっさと入ってきてと言われて、ジェムダイバから離れる。ダイバはジェムが自分の支配から逃れていることに苛立ちと、自覚できないほどの小さな安堵を覚える。ジェムは、ダイバとまずは対等になりたいと思って行動する。そのためにも、ここで結果を出そうと思った。
手持ちの道具をすべて渡し、ライトとバッグを貰う。思ったよりバッグは
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