1. 玉子焼きと豚汁
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たほうがいいかも知れない。鳳翔がこの鎮守府を去ってからは、趣味で彼女に料理を学んでいた俺が鎮守府の食事担当になっている。いくら他の鎮守府に比べて艦娘の人数が少ないといっても、20余人の大所帯の食事の準備は時間もかかる。
「じゃあ俺はこれから夕食の準備してくるから。夕食までにはそれ、終わらせといてくれよ」
「はいよー。今晩のメニューは何?」
「寒くなってきたし、豚汁でもしようかなと思ってる」
「りょーかい。楽しみだねー」
「ありがと。作りがいがあるよ」
この飲んだくれにそんな嬉しい言葉をかけられ、少し胸が温かくなった自分がなんだか恥ずかしい……そんな隼鷹の言葉を信じ、俺は食堂に急いだ。
晩ご飯のメニューは豚汁と付け合せにほうれん草のおひたしと玉子焼き。夕方7時頃になると、食堂にはチラホラと鎮守府のみんなが顔を出す。
「あ、提督ー。今日は豚汁?」
「おう。そろそろ寒くなってきたからな。お前も今日は那珂と夜の哨戒があるだろ?」
「うん! 今晩は夜戦できるかなー?」
「出来れば夜戦は無い方が俺は安心だけどな」
「ま、提督はそうだろうねー」
食堂に入ってくるやいなや、鼻をすんすんと鳴らす川内とそんな会話をしながら、豚汁をお椀に注ぎ、付け合せと共にお盆に乗せて川内に渡した。相変わらずのフラッシュライトみたいな笑顔でそれを受け取った川内は、自分の隣でぴるんぴるん回っている那珂にそのお盆を渡し、再度俺から夕食が乗ったお盆を受け取っていた。
「ありがと!」
「おう」
「那珂ちゃんからもお礼言うねー☆ 提督ありがと!」
「どういたしましてー。いっぱい作ったから好きなだけおかわりしていいぞー」
俺に背を向けて楽しそうに席に向かって歩いて行く二人を眺めながら、哨戒任務明けの二人におにぎりでも準備しておいてやろうかと思ってしまう俺は、鳳翔から鎮守府のオカン魂を受け継いでしまったのかも知れない……自然と苦笑いが浮かんでしまった。
次第に食堂の席が艦娘たちで埋まっていく。やがて顔が真っ赤っかな隼鷹とそれを心配そうな眼差しで見守る飛鷹がやってきて、鎮守府にいる艦娘全員が揃った。それでも食堂の席は空席の方が今となっては多い。でも。
「そうよ! このビスマルク、ついに戦艦でありながら魚雷を発射できるようになったのよ!!」
「こ、これが……一人前のれでぃー……!!」
「球磨姉……ちょっと眠いニャ……」
「だからといって食事中に姉ちゃんの膝で寝るのはやめるクマ」
「ぷっ……なんか加古みたいですね」
「……クカー」
空席の数だけを見ると随分と寂しくなってしまった鎮守府だが、それでも皆、元気に毎日を過ごし、力強く生きている。皆のこの姿勢は、俺も幾度となく助けられた。
俺も自分の分の夕食をお盆
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