530部分:第七十五話 第三の技その五
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第七十五話 第三の技その五
「では今からそこに戻って」
「帰路に着きますか」
「そうするとしよう。ではアイオリアよ」
「うむ」
「それでいいな」
あらためて弟に問うたのだった。
「それで」
「俺としても異論はない」
彼もまたそうであった。
「特にだ」
「私が増えるがそれでもいいか?」
しかしここでこんなことを言ってきたアイオロスだった。
「それでも」
「旅は多い方がいい」
微笑んで兄に返してみせたのだった。
「その方がな」
「そうか。そういうことか」
「では聖域に帰ろう」
アイオリアも言った。
「今からな」
「はい、じゃあアイオリア様」
「これからまたシドニーに、ですね」
「そうだ。また長旅になるな」
青銅の者達に答えて述べるアイオリアだった。
「またな」
「まあ楽しく過ごそう」
アイオロスがぼやき気味に言った弟を宥める様にして微笑んで声をかけた。
「せめて帰りはな」
「楽しくか」
「やはり警戒は必要だ」
これは踏まえているアイオリアだった。その表情が一瞬ではあったが緊張したものも入った。やはりそれはあるのだった。
「しかしだ」
「しかしなのか」
「そうだ。楽しく帰るとしよう」
またこう言ってみせるのだった。
「それでいいな」
「俺としては別に構わないが」
アイオリアは自分の考えを述べた。元々鷹揚で陽気な性質の彼は特にこだわるところがなかった。最低限の警戒心は最初から備えているということもあった。
「それで」
「そうか。ではいいのだな」
「うむ。それでいい」
あらためて頷いてみせるアイオリアだった。
「それではだ」
「じゃあアイオロス様、アイオリア様」
「これで」
青銅の者達が明るく彼等に言ってきた。
「楽しくシドニーまでということで」
「まずはコアラを観ますか?」
「それかカンガルーか」
オーストラリアだけにいる動物達の話が自然に出て来た。オーストラリアといえばどうしてもそうした動物達が浮かび上がってくるのであった。
「そういったものを観ながら」
「そうしますか」
「そうだな」
アイオロスもそうした動物達の名前を聞いて満足した顔になっていた。
「他にはウォンバットもいるしな」
「そうですよね。他にはディンゴとか」
「そういう動物達を観ながら」
青銅の者達はアイオロスの今の言葉にさらに乗るのだった。
「帰りましょう」
「明るくですね」
そんな話をしながら帰路の旅について明るく話す彼等だった。こうして彼等は意気揚々と帰路に着くのだった。オーストラリアでの戦いはこれで終わったのだった。
第七十五話 完
2009・12・3
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