暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
正念場
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られるのはこっちかもなぁ、と思いながら狐耳の麗人はメーラーウインドウを起動し、各地に散らばるフェンリル隊隊員達からの新たな報告メールに目を通す。

実際、この取引は双方にとって有意義なものだ。多少癪だが。

フェンリル、並びに《敵》の真なる目的が飼い馴らし(テイミング)スキルに対しての運営による弱体化ならばドラグーン隊も封じられたケットシー側には、いざとなった時に一般プレイヤーの不満がそのまま呆れに転換するほどの協力的で強力な、圧倒的な《個》を手に入れることができる。

反して、カグラは行方不明になったマイを――――個人では捜索することが困難なマイを《全》で補うケットシーの協力を取り付けることができる。そして何より、ケットシーとしてもフェンリルを取り上げて手持無沙汰、かつ政治中枢に対し不満を膨らませたフェンリル隊の面々を執政部との無駄な衝突なしに領外へ派遣する口実ができる、という訳だ。

ま、体のいい厄介払いやんなぁ、と身も蓋もないことを思いながら、ヒスイは近くを通りがかった執政部プレイヤーが持っていた盆の上に乗る湯呑みを奪い去る。

ずず、と中身をすすってその熱さに舌を出す女性を尻目に。

「守るよ」

ポツリ、と。

書類を右から左に捌く小さな少女は髪と同色の尻尾を揺らしながら、誰ともなしに呟いた。

それはたぶん、宣言。

ALO屈指の大種族を統べる領主の、私欲とも言えないちっぽけな誇り(プライド)をかけた、ちっぽけな宣言。

「カグラちゃんの力に頼ってでも、私には守りたいものがある。レン君が繋いでくれた糸を、ここで断ち切らせるわけにはいかない……!」

「………………………」

そやな、と赤髪の女性は狐耳をゆっくりと揺らした。

「だからこそ、やれることをやらんとなぁ」
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