暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
正念場
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が届けられる。

羊皮紙アイテムに記されたそれに胡乱げに目を通したアリシャは、だが――――

「ッどういう、こと……ッ!!?」

激しく狼狽したように、後ずさった。

眼を見張る一同の雰囲気に後押しされたように、彼女は唇をこじ開け、声を震わせる。

「『今回の、貴領の領民における我が領民への攻撃はどういうことか説明願いたい』」

「……………………ぁ?」

思わず。

間抜けな音が口をついて出た。

どういう、ことだ?と。

誰かが言った。

攻撃されたから反撃した、そういう認識じゃなかったのか。

ざわざわ、と混乱が錯乱を呼び、錯乱が狂乱を呼ぶ。

その寸前。

「攻撃やな」

少年が入ってきた扉。

ノックすらせずに開け放ち、人垣を割ってこちらにズカズカ歩いてくる人影は言った。

ケットシーの中では高身長、そして見る者を印象付けるレアな狐耳を持つ麗人。

狼騎士(フェンリル)隊副隊長ヒスイは、普段着の着流しを肩のあたりまではだけさせ、言った。

「これで決まりや。今回の一連の件、いくら何でも偶然にしては重なりすぎとる。どっか単一の種族がうろちょろ裏工作し、ウチを貶めようとしてるんや。違うけ、領主サマ?」

「まだ当てつけに近い推測だけど、ネ。……迷子(マイ)ちゃんの報告は?」

手の甲にアゴを乗っけるアリシャは、流し目をヒスイに向け短く言葉を放つ。

女性は肩をすくめ、デスクの上にしなだれかかるように体重を預けた。

「こっちは平和そのものや。とはいえ、順調とも言い難いけどなぁ」

「見つからない?」

「ナシのつぶてや。目撃状況はそこそこ出てるんやけど、それが散らばっとるんよ。……なぁアリシャちゃん、あん子ぉ分身の術でも使てるんとちゃうん?怖なってきたわ」

「バカなこと言ってないでちゃっちゃと探してヨ。じゃないとカグラちゃんに悪いから」

目の前を漂っていた書類をキャッチし、軽く目を通すヒスイは片目を瞑る。

「そーいえばカグラんはどこ行ったん?ここにはいないようだけど」

「出撃準備。さすがに執政の中枢に他種族がいるのは問題だからネ。他所で支援職(バファー)の子達と色々打ち合わせと軽い準備運動しつつ、待機してもらってる」

「……バフいるか?アレが?」

偉大な《終焉存在(マルディアグラ)》サマの影に隠れてはいるが、彼女もまたバケモノじみた性能を持っている。だからこそ今回の助っ人役に抜擢されたのだが。

最悪どこかの種族と全面戦争の切った張ったになったとしても、彼女単騎で殲滅しそうな気がしないでもないから恐ろしい。

とはいえ、そんな彼女と真正面から大真面目に交わした交換条件だ。きちんとしないと、あの太刀の切っ先が向け
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