暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
正念場
[3/5]

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奪われ、スキルを鍛える暇がない。だがそれでも、イベントボスやクエストボスとかち合わない限り、ただのフィールドMobにやられるほど弱くない。フニはともかく、一緒にいた少女達の実力は折り紙付きだ。

それでも(フニ)はここにいる。

ならばそれは、極大の異常事態(イレギュラー)の発生に他ならない。

まったく笑っていない笑顔の下、アリシャは領主の顔でこう言った。

「……何があったの?」

「…………襲撃されました」

ざわ、と会議室の空気が蠢く。

少年の言葉は、それに類する衝撃を与えるには充分だった。

「……誰に?」

「ウンディーネ」

一瞬の静寂。

そして、撃発した。

「ウンディーネだと!?何で奴らが関わってくるんだッ!?」

「クソったれ!下手したら一気に構図がひっくり返るぞ!」

「いや、下手したらもう――――」

「静かにッッ!」

ダァン!!と。

アリシャが机を思い切り殴りつける音で喧噪は正気を取り戻す。

「狼狽えないで。皆、できることをやろう。ネガティブな想像は自縄自縛になるだけだヨ」

領主の鶴の一声に、場は元のざわめきに戻る。

そのことにはもう構わずに、アリシャは机越しに少年を見据えた。

「詳しく教えてヨ、フニくん。他の子達は?やられたの?」

「い、今も交戦中のはずです。場所はガタンから北北東。第六オアシスの手前です」

「援軍を向かわせる。付近にいる子に連絡を取って!」

はい!と執政部の一人が部屋を飛び出していく。

ケットシーは自由奔放な気質の反面、横のネットワークは全種族中頭一つ飛び抜けている。きっとすぐに、今も戦っている彼女達に朗報が届くだろう。フニは届くはずもない部下に向け、一心に祈った。

その間にも、領主の詰問は続く。

「相手はウンディーネ……先手は相手が?」

「は、はいっ!隊員に矢が刺さって、発射位置にウンディーネの小隊が……!」

「わかったヨ。なら、ウンディーネ領に問い合わせて、その襲撃が個人的なPKなのか……あるいは、ウンディーネそのものの総意なのか確かめなきゃ」

ウンディーネは現在、どことも同盟関係を築いていない中立である。

内面はどうあれ、このALOがPK推奨である以上、襲撃そのものはそこまで問題ではない。だがそれが、サラマンダーのように積極的にPK行為を行わないウンディーネがしたからこそ、そこに不穏な意図があるように見える。いや、見えてしまう。

黄金色のウェーブヘアを揺らす彼女だが、しかし具体的なアクションをする前に一声が投じられる。

「あれ?でもさっき、ウンディーネから何かメール来てましたよ」

「……?」

すぐさま文書化されたメールの文面
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