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提督はBarにいる。
奴が再び現れる。

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 以前から要望のあった設備を、「Bar Admiral」に追加する事になった。主計課や総務課の人間に怒られるかと思いきや、一発OKだった。まぁ、主計課も総務課も艦娘運営の組織だ、通るだろうなとは思っていた。

 その設備とは、ビリヤード台、ダーツボード、麻雀卓の3つ。ビリヤード台とダーツボードは艦娘達からの要望だが、麻雀卓は俺の要望だ。どれも最新の物を入れてもらった。特に雀卓スゲェ。全自動卓なんだが、和了した手牌の点数計算までしてくれる。他にもバカラテーブルやスロットマシンなんて要望もあったが、流石にそこまでやったら本部に怒られそうだから止めておいた。トランプゲームはカウンターでやろうと思えば出来るしな。そこで、月1だが、ゲーム大会を開催する事になった。ダーツはカウントアップ、ビリヤードはナインボール。優勝者には間宮券30枚か、ウチの店の1日貸しきり券を用意する事になった。……だが、コレが不味かったのか今やウチの店はバーというより遊技場と化していた。

 今日もビリヤードのキューが玉を突く小気味良い音が響く。

「ま、負けた……。しかも完封……」

ガックリと肩を落とし、落ち込んでいるのは長門。その先で勝ち誇った笑みを浮かべていたのは……

「フフフ、ビリヤードはただ力任せに突けば良いのでは無いんですよ?長門さん。」

 掛けた丸眼鏡型の電探を元の位置に戻しながら、鳥海がそう言ってのけた。そういえば、先月のビリヤード大会の優勝者は鳥海だったか。

「玉を突く角度、強さ、反射の角度、残りの玉の配置とポケットまでの距離……。長距離射撃よりも簡単な計算の筈ですが?」

 ぐぬぬ……、と黙り込む長門。成る程、言われてみれば確かに深海棲艦との戦闘中はもっと面倒な計算をこなしているのだろう、鳥海が放つ正確無比なショットは確実にポケットを捉える。

「なら、更に長距離の射撃が可能な長門なら、鳥海にも
勝てる筈だがなぁ。」

やけ酒をすると長門がカウンターに座り、山崎をロックで頼んできた。山崎の12年を注いでやりながら、俺は長門に尋ねてみた。重巡よりも射程の長い戦艦ならば、先程の鳥海の説明なら勝つ筈だろう。

「何を言っている提督、そんな物勘で当てているに決まっているだろう。」

 おい、この超弩級戦艦トンデモ発言してるんだが。

「え、お前勘で今まで長距離砲撃してたの!?」

「そうだが?しかしどうする、このままでは私の完璧な計画がぁ……!!」

 おいおい、絶対良からぬ事企んでるよ、この超弩級戦艦。

「私が優勝してゲットした間宮券で駆逐艦の娘達に奢ってチヤホヤされるという、私の完璧な計画がぁ……!!」

 …………。よし、コイツの名前は明日から長門でもながもんでもない、バカモンにしておこう。
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