真・魔人-ファウスト・ツヴァイ-part1/ウェザリーの野望
[11/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
必死の呼びかけで腕を鈍らせた。ファウストとしての人格ではなく、彼女の本来の人格がまだ彼女の中で生きていて、それが前回の戦いで決着がつかなかった大きな要因となった。そしてそれは、『ハルナを取り戻せるかもしれない』という希望の現れとも言えた。
しかし、ウェザリーの次に放った言葉は、あまりに意外な言葉だった。
「そんなに返してほしければ、返してあげてもいいわ」
「「「!!?」」
これには、サイトもルイズも、そしてハルナ自身も絶句した。
正気で言っているのか?この女は。いや、そもそもやっていることが正気の沙汰とは思えないが。彼女にとって絶対の盾となるハルナを、ファウストを捨てると言うのか。
「ウェザリー様、何を…!?」
ハルナは一体どういうつもりでウェザリーがそんなことを言ったのかを尋ねる。すると、次の瞬間、ハルナはウェザリーに首を捕まれた。
「ぐっ…」
「ウェザリー!?」
一体何をしているのだとサイトが叫ぶと、ウェザリーはハルナを冷めた目で見つめながら口を開いた。
「ご苦労様、人形」
「ウェザリー様…なぜ…」
ウェザリーから首を掴まれ、持ち上げられるハルナは息苦しさと裏切られたような感覚を覚えながらウェザリーを見たが、ウェザリーの顔は氷のような冷たい笑みを浮かべていた。
「何をしてやがる!ハルナから手を離せ!」
「私の目的がトリステインへの復讐であることは知ってるわよね?」
ハルナの首を掴んだまま、ウェザリーはサイトたちの方に視線を傾けた。
「トリステインを滅せるのなら、私はどんな犠牲を払っても構わない。たとえ、この人形に貸している闇の力を抜き取ったことで、人形がどうなろうと知ったことではないわ」
「何、どういうことだ!」
サイトかウェザリーに向けて、怒鳴った。
「この人形は、私がトリステインをこの手で滅ぼせるだけの力を、確実かつ安全に手に入れるまでの、『囮』なのよ」
「!?」
精神的に強い衝撃をサイトたちは受けた。ハルナが、ウェザリーの切り札であるはずの彼女が囮!?
「私が自らの願いを叶える前に、ウルトラマンのような邪魔者に倒されたら元も子もないでしょう?だから私は、『ある方』からこの人形を頂いたの。私が無敵の闇の力を手に入れるまでの、私の代役としてね」
「ある…方?」
意味深な単語を言ったウェザリーだが、そこにはそれ以上触れず、話を続けた。
「それも、立ちはだかる可能性が高い者とは特に近しい関係の者を選んでくださった。サイト、あなたのようにね。
しかもさらに幸いなことに、この人形はサイト…あなたを強く思うがゆえに、ミス・ヴァリエールへの強い憎しみを抱えている。
闇の力を一時的に預けるには、人質としても有効な器としてもうってつけだったわ。
けど、結局は不良品ね。サイト、あなたに対して下手な情を抱え
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ