第五章
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「理想は」
「だからですか」
「残っているから」
「その残りをですか」
「何とかね売り切るよ」
「じゃあ」
「そろそろ貼るよ」
大家は決意した顔で言った。
「二割引きね」
「今から」
「時間的には早いけれど」
少しだ、店の営業時間から考えて普段貼る時間でないというのだ。
「けれどね」
「今からですね」
「貼るよ、そしてそのうえで」
「完売ですね」
「それを目指すよ」
こう言って実際にだった、大家はケーキにに割引のシールを貼った、するとこれまでより売れ具合がよかった。
そのうえで他の商品も売れていく、だがここで。
徳武の勤務時間が終わった、それで彼は言った。
「僕はこれで」
「ああ、時間だったね」
「ですから」
「しかも今日結構残ってもらったね」
このこともだ、大家は言った。
「一時間位。九時に来てくれてだから」
「はい、そういえば」
「その分はちゃんと振り込んでもらうから」
バイト料にというのだ。
「安心してね」
「すいません」
「じゃあ帰ってね」
「僕もケーキ買わせてもらいます」
徳武は大家に言った。
「最初からそのつもりですし」
「悪いね」
「いえ、スーパーにいますと」
「買いものが出来るからね」
「そのメリット大きいですから」
だからだというのだ。
「ここバイト先に選びましたし」
「それでなんだ」
「はい、今から買わせてもらいます」
仕事の後で家に帰るまえにというのだ。
「そうさせてもらいます」
「それじゃあね」
「お疲れ様でした」
「明日も入ってるよね」
大家は徳武にスケジュールの確認もした。
「そうだったよね」
「今日と同じです」
「それじゃあね」
「また明日」
こう話してだ、そのうえでだった。
徳武は家に帰った、その時にしっかりとケーキを買った。
大家はまだ店に残っていて働きつつ売上を見守っていた、第一にケーキのそれをだ。そして遂にだった。
完売したのを見てだ、髪の毛の薄い六十過ぎのナイトマネージャーの宮地喜朗に言った。
「すいません、今日はこれで」
「今日はかなり遅いですね」
「クリスマスですからね」
勝負時だったからだというのだ。
「ですから」
「今までですか」
「残ってました」
そして働き売上を見守っていたというのだ。
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