第四章
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「そのお客さんも来ているから」
「キャンセルないですよね」
「今のところはね」
「じゃあ」
「うん、空いたらね」
「入れていきます」
徳武も応えてだ、そしてだった。
彼も動いて動いてだった、商品を入れていった。ケーキは何とか大家の戦略通り売れていた。昼もそれを過ぎてもだ。
売れていた、大家は商品を入れて売上もチェックし続けていた。
昼食の場でもだ、休憩室で店の弁当を買ってそれを食べつつ言った。
「いや、今はですね」
「何とかかい?」
「はい、売れてます」
恰幅のいい初老近くの男、店長の福島悠紀雄に答えた。
「ケーキも」
「そうか、残るとな」
「やっぱりあれですから」
「だからな」
「今の状況はです」
「いいかい」
「はい、このまま閉店までいきますと」
この勢いでとだ、大家はパンを食べている福島に言った。
「多分」
「売上の目標は達成して」
「ドライの方も」
「ケーキも」
「完売です」
「若し完売出来なかったら」
「明日残りを半額で売ります」
そうするというのだ。
「というか今日もです」
「夕方になったら」
「二割引きを考えています」
「早いうちに」
「そうしようかと」
「そこは任せた」
福島は自分の向かい側に座る大家に言葉を返した。
「全部な」
「全部ですか」
「そう、ドライのことはな」
「そうですか」
「ああ、好きな様にやってくれ」
「そうさせてもらいます」
大家もこう答えた。
「それなら」
「今日は本当にな」
「スーパーにとっては勝負の時ですから」
「売上を伸ばさないとな」
「そうしないとどうしようもないですからね」
「ないとな」
クリスマス、この日はというのだ。
「困るよ」
「その通りですね」
「なくなってしまえと言っても」
「なかったら」
「そう、困るよ」
その時はというのだ。
「本当にね」
「そういうことですね」
「そうだよ、じゃあね」
「わかりました、じゃあ任せてもらって」
「やってもらうね」
「そうさせてもらいます」
こう言ってだ、大家は午後もだった。
自ら率先して働いた、売上を常にチェックしつつ売っていく。売って売ってそうしてだった。夕方にだった。
残り少なくなったケーキを見てだ、こう言った。
「残ったね」
「結構以上に売れたんじゃ」
「そうだけれどね」
「残ってますか」
「うん」
こう徳武に言った。
「まだね」
「目標までは」
「目標は完売だからね」
何といってもだ、それだというのだ。
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