第一章
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クリスマスは大歓迎
世のもてない男達が喚いていた。
「クリスマス?そんなのいるか」
「ここは日本だよ」
「キリスト教徒でもないのに祝うな」
「そんなのねえんだよ、最初から」
「フィンランドに行って祝って来い」
サンタクロースのいるその国まで行ってと言う者すらいる。
「それでトナカイと遊んでろ」
「人食いサンタに襲われてろ」
そのフィンランドのホラー映画の話も出た。
「それも裸のサンタの集団にな」
「そうなっちまえ、カップルはな」
「ラブホなんか行くんじゃねえ」
「ラブホの前で変な歌歌ってやれ」
「ラブホの前で軍歌だ」
「同期の桜歌ってやれ」
英霊達を冒涜する様な主張すら出た、その冒涜の度合いは某大手新聞や左翼政党に匹敵するであろうか。
「ケーキなんか食うかよ」
「ワインも飲むか」
「何が鶏肉だ七面鳥だ」
「焼き魚食え、日本人ならな」
「鍋でいいだろ、鍋で」
「すき焼き食え、奮発してな」
「鶏肉なら水炊きだろ」
とにかくクリスマス関連を忌み嫌うのだった。
「七面鳥とか言うんならな」
「丸焼きでなくてもいいだろ」
「スモークターキー美味いぞ」
「そういうの食ってろ」
「クリスマスは苦しみますだ」
この言葉さえ出た。
「いちゃいちゃしてんじゃねえよ」
「バレンタインもなくなっちまえ」
「俺達は仏教徒だ」
「俺は神道だ」
「そんなの関係ねえ」
「宗教が違うだろ」
「教会なんか知るか」
とにかくムキになってクリスマスを否定する、だが。
彼女いない歴二十五年の今年二十五歳になる大家康史は世間のそうした声にだ、怒って言うのだった。
「そんなこと言って何になるんだ」
「クリスマス否定してもですよね」
彼女いる歴二年の大学生にしてリア充徳武康介はこう大家に返した、背は一七八ですらりとした長身に整ったオールバックで涼しげな顔をしている。大家が勤めているスーパーで彼の下でドライのアルバイトをしている。
「何にもならないですよね」
「そうそう、それそれ」
大家は眼鏡をかけた面長の顔で言う、眉毛は海苔の様で髪の毛は短くしている。唇はやや厚く背は徳武より三センチ程低い。
「そんなこと言ったら」
「何にもならないですしね」
「うちは何?」
大家は徳武にここで問うた。
「一体」
「スーパーです」
「それでわかるよね」
「はい、スーパーにとって十二月は」
「ゴールデンウィーク、お盆、ハロウィンと並んでね」
「ついでに言うとバレンタインもですね」
「ひな祭りも七夕もだよ」
とにかく何かあると、というのだ。
「名月もね」
「そうした日は全部」
「ここぞとばかりに占いと」
「そうですよね」
「それでわかるよね」
「
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