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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十一話 決戦、ガイエスブルク(その1)
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ームリヒ中佐も加わり和やかな時間が過ぎた。十分、いや十五分も話した頃だろうか、オペレータが遠慮がちに声をかけてきた。
「フェルナー准将」
「分かったか?」
「はい、敵の艦隊司令官の特定が出来ました。敵は右翼からファーレンハイト、ミュラー、ビッテンフェルト、ヴァレンシュタイン、ケンプ、アイゼナッハ、ケスラー、クレメンツ、メルカッツ、シュタインメッツ、レンネンカンプ、メックリンガー提督です。なお予備として右翼側艦隊の後ろから順にワーレン、ルッツ、ミッターマイヤー、ロイエンタール提督が配置されています」
戦術コンピュータのモニターに映る敵情とオペレータの報告を付き合わせていく。妙だ、腑に落ちない。ブラウラー大佐、ガームリヒ中佐も訝しげな表情をしている。
「妙ですな、ヴァレンシュタイン司令長官が中央に居ない」
ブラウラー大佐がモニターを睨んだ。同感だ、普通総司令官は中央に陣を布く。だがこれではどう見てもエーリッヒの位置は右翼寄りだ、どういうことだ?
「メルカッツ副司令長官は左翼に寄っています。右翼と左翼で指揮を分けているという事でしょうか」
ガームリヒ中佐が自信なさげに言う。有り得ない話だ、エーリッヒは無力な司令長官ではない。指揮権を分割する必要は何処にも無い。だが陣の有り様を見れば確かにそのように見えなくも無い。それに他にも妙な事がある。
「敵の予備だが妙とは思わないか?」
「……なるほど、確かに」
「……いささか妙ですな」
俺の言葉にブラウラー大佐とガームリヒ中佐が少し考えてから同意した。
敵の予備はワーレン、ルッツ、ミッターマイヤー、ロイエンタールが配備されている。普通予備は攻勢に強い指揮官を選ぶ。ミッターマイヤー、ロイエンタールは分からないでもない、だがワーレン、ルッツはどういうことだろう。彼ら二人はどちらかと言えば守勢に強い指揮官だ。
その一方で本来予備にすべきビッテンフェルト、ファーレンハイトは前線に出されている。布陣と言い、指揮官の配置と言い腑に落ちないことばかりだ。俺なら予備にはビッテンフェルト、ファーレンハイトの他にケンプ、レンネンカンプを選ぶ。エーリッヒ、卿、何を考えている?
「混戦を狙っているのではありますまいか」
ガームリヒ中佐の言葉に俺とブラウラー大佐は顔を見合わせた。
「混戦か……、ガイエスハーケンを撃たせないためだな」
「ええ」
なるほど、多少強引でも突破力のある混戦に強い指揮官を選んだと言う事か。しかも配置からして敵は右翼が攻撃力が強い。エーリッヒは自らの手で勝利をつかもうとしている。右翼を混戦に持ち込み撃滅する。指揮を分けたのはその所為か……。
「ブラウンシュバイク公に知らせよう。もしかするとグライフス総司令官が気付いているかも知れない。しかし気付いてい
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