第十四章
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「少なくとも私達二人で貴方を止めさせてもらいます」
「では次に会う時はだな」
「お覚悟を」
「二人共苦しませるつもりはない」
騎士は速水の言葉にも受けて立っていた。一歩も退かずそのうえで傲然と胸を張っている返事であった。
「決してな」
「そうですか」
「ではまた会う時にだ」
「覚悟をですか」
「していることだ、ではまた会おう」
最後にこう言い残してだった、騎士は沙耶香と速水の前から姿を消した。これで夜の戦いは完全に終わった。
騎士が去った後でだ、沙耶香は自分のところに静かに来た速水に顔を向けてそのうえで問うた。
「プラハでのお仕事は終わって、なのね」
「急いで来ました」
速水は穏やかかつ美貌を引き立たせる微笑みで沙耶香の問いに答えた。
「一刻の早く貴女をお助けしたくて」
「相変わらずの調子ね」
「駄目でしょうか」
「好きにすればいいわ。けれど今夜はね」
「またしてもですか」
「この街はドイツの首都よ」
このことからだ、沙耶香は妖しい笑みで速水に述べた。
「楽しい場所、そして美女も多いわ」
「ではそちらにですか」
「そうした場所はすぐにわかるか」
沙耶香の場合はだ。
「むしろそうした場所の方から私を呼んでくれるから」
「そちらにですか」
「遊んで来るわ」
「やれやれですね。既に普段とは別の香水の香りも漂わせられているというのに」
「それはいつものことだと思うけれど」
「そして夜もですね」
「そうよ」
そうなることは否定しなかった、それも全く。
「お酒を飲みながらね」
「美女と美酒ですか」
「その両方を楽しませてもらうわ」
「確かにいつも通りですね」
「それは貴方もだと思うけれど」
「そうですね、では振られました」
速水は微かに残念そうに言った、だがすぐにその笑みを消して穏やかな笑みになってそうしてだった。沙耶香にあらためて言った。
「ではまた明日」
「明日市長さんのところに行くことになるわね」
「そうですね、では明日の朝市庁の前で」
「国会議事堂と間違えるかもね」
「それはないです」
今度は穏やかに笑ってだ、速水は沙耶香に答えた。
「既にベルリンの省庁の場所とシルエットは頭に入れています」
「だからなのね」
「間違えることはありません」
「いつも通り勉強してきたのね」
「そうです、ではまた明日」
「ええ、明日ね」
沙耶香も速水に穏やかな笑みでこの日の別れの挨拶をした、そうしてあらためてだった。ベルリンにもあるそうした古風な宿にだ。
沙耶香は入ってだ、カウンターで主に言った。
「二人、頼めるかしら」
「二人だね」
「ええ、髪の毛と目の色は問わないわ」
沙耶香はそこは注文に入れなかった。
「どの色でも愛おしいのよ」
「あ
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