第二十三話 野心その五
[8]前話 [2]次話
ロドネイ公達にだ、こう言った。
「私は王位よりも」
「それよりも」
「別のものを」
「欲しいのですが」
中庭にいて薔薇達を見つつ言うのだった。
「出来れば今もと思っていました」
「しかしそれは」
「どうしても出来ません」
「どなたも嫁がれます」
「ましてや王家に生まれたなら」
「はい、それもまた務めです」
結婚、それもとだ。マリーもわかっている。
「私もやがてはですし」
「そのお話はまだ出ていませんが」
「やがてはです」
「マリー様もとなります」
「間違いなく」
「生涯、とはですね」
マリーは側近達の言葉を受けて述べた。
「なりませんね」
「はい、どうしてもです」
「結婚して頂くことになります」
「他国の王家の方か国内の有力な諸侯のどなたかと」
「やがては」
「そうですね、では」
それではとだ、マリーも頷く。自身のことについては。
そしてだ、マリーはあらためて赤と黄色、白の薔薇達を暖かい目で見てそのうえでこう言ったのだった。
「ですが今も」
「はい、セーラ様そしてマリア様とは」
「文でのやり取りも行われていますね」
「お二方もそれぞれのお国にこの薔薇達を入れられています」
「それでは」
「そうですね、私達はです」
まさにと言うのだった。
「今も共にあります」
「離れてしまいましたが」
「それは御身のこと」
「お心は共にあります」
「そうなっています」
「そうですね、では二人に何かあれば」
セーラ、そしてマリアにだ。
「私は何があろうとも」
「助けられますね」
「そうされますね」
「是非」
こう言うのだった、そしてだった。
この話の中でだ、ロドネイ公はマリーにこうしたことを言った。
「王女は王位は望まれていませんね」
「はい」
その通りとだ、マリーはロドネイ公に答えた。
「実は」
「そうですね」
「この国と民が幸せになることがです」
「望みであられ」
「ですから」
それ故にというのだ。
「私はそれが今のままで適えられるなら」
「玉座はですね」
「必要ありません」
こう言うのだった。
「目的が適えられるのなら」
「ではです」
グラッドストン大司教がマリーに言ってきた。
「このままでもですね」
「構いません」
「マイラ様が女王でも」
「それでも」
全くという言葉だった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ